[マレーシア] オフィススペースの新規成約は今後3年緩やかに

2021/07/22

[マレーシア] オフィススペースの新規成約は今後3年緩やかに


英国系不動産コンサルティングのナイトフランク・マレーシアは、マレーシアのオフィス市場について、新規成約の全体的な活動は、企業が短期的に計画の見直しを行うことから、今後3年間緩やかになると見ています。


ナイトフランク・マレーシアのコーポレートサービス担当エグゼクティブ・ディレクターのテー・ヤング・キアン氏は、これについて業種によって差が出てくるだろう、とも語っています。


Eコマース、衛生・医療、技術およびビジネス・プロセス・アウトソーシング関連のビジネスは活発で、これらの業種からの新規成約がもっと出てくるだろうと見込んでいます。」


テー氏は、マレーシアの現在の市況にもかかわらず、将来の就労形態の戦略を練るにあたって、企業から問い合わせが増えていると言います。


ナイトフランクが全世界で行った「(Y)OUR SPACE」調査によると、アジア・パシフィック地域(APAC)に本社を置く企業は、その不動産ポートフォリオへのCovid-19の長期的な影響を感じることは少なそうです。パンデミックにより不動産戦略が今後の不動産戦略をすっかり変えてしまった、と答えたのはたった14%でした。


この調査は、従業員合わせて1,000万人超の世界の国際企業400社近くを対象に行ったもので、グローバル企業の職場戦略と不動産ニーズについてのユニークな視点を明らかにしてくれています。


その調査で、APACと世界全体では企業の不動産に対する意欲が対照的であることがわかっています。世界のその他の地域と比べて、不動産ポートフォリオを増やす可能性があると答えたAPAC企業は17%多く、不動産ポートフォリオを減少させる可能性があると答えたAPAC企業は18%少なくなりました。


ポートフォリオを増減させる可能性がある企業について、20%以上の大きな変更を行おうとしている企業の割合も、世界的なレベルよりも多くなりました。


テー氏はさらに、APAC企業が世界平均とは異なるその他の分野として、本社(HQ)の移転可能性を上げています。


調査に回答したAPAC企業の約51%が、今後3年以内に移転の可能性があると答え、世界平均よりも13%高い結果となりました。


「マレーシアの現在の過剰供給と弱い市場心理の結果としてのダブルパンチ効果で、企業の中にはこの機会を利用してよりコスト削減を行うべく、オフィススペースをより良いバリュー・プロポジションのある建物に移転しそうです。」とテー氏は話しています。


このような本社移転の決定に影響を与えるのには、コスト削減が第一の理由ですが、APAC企業が移転に求めるものとして、第二には異なる人材へのアクセスもあります。


調査によると、APAC企業のかなりの割合が、本社の移転を検討しており、その理由は人材の確保、そして異なる人材へのアクセスだということです。


「どこへ移転するか、そしてこれがどのように既存の不動産戦略に影響するかについては疑問が残ります。」とテー氏は言います。


一方で、同調査では、APACの従業員が求めるアメニティーのトップ3も明らかになりました。飲食物の提供、医療設備、そしてジムの設備です。


テー氏は、「レジデンシャル、商業、そしてレクリエーションなどの多様なミックスが一つに詰まった複合用途開発へのシフトが見られます。」と指摘しています。


テー氏は、企業は、アメニティの選択肢が多いオフィススペースに集まる傾向が出ると予想しており、家主側は不動産ポートフォリオに長期的な複合用途の戦略を織り込んでいくことを検討していくと良いだろうと述べています。


(出所:New Straits Times