[フィリピン] 2019年前半期ダバオシティ不動産市場概況

フィリピンを代表する不動産コンサルタント会社JLLは、7月末に2019年第2四半期の不動産市場レポートを発行し、2019年第2四半期のメトロマニラ、セブ、ダバオの不動産市場と、2019年前半期のカラバ(カヴィテ、ラグーナ、バタンガス)の工業用地市場についてのリサーチを発表しました。3番目に、2019年前半期のダバオシティを見ていきましょう。

ダバオシティ不動産市場概況(2019年前半期)


1.オフィス不動産市場

(1) 供給

総供給は、220,000㎡となっています。2018年末に完成したダバオ・ファイナンシャルセンター以外のグレードA/PEZA認証オフィスビルは、完全成約済みとなっています。今後2年間で、7つのオフィスビルプロジェクトが完成予定で、合計87,000㎡が追加される見込みです。

デベロッパーのシェアは分散していますが、プラザ・デ・ルイサ・デベロップメント・コーポレーションが15%でオフィス在庫のシェアをリードしています。


(2) 需要

需要を主にけん引したのは、O&O企業です。2017年と2018年初旬には、成約面積において鈍化がみられましたが、これは戒厳令の発令と延長によるものです。しかし、O&O企業一社が、2018年第4四半期の供給の大半を占めています。

PEZA認証のプロジェクトはすでに完全成約済みとなっています。

フレキシブル・ワークスペースの動きが見られます。2018年、Regusが2拠点、Skynoraがダバオシティに拠点を構えています。ダバオ・ファイナンシャルセンターの出だしはゆっくりでしたが、開業後6か月で約50%のところまできています。今後、堅調なオフィス市場の成約が見込まれています。

ダバオシティの豊富で健全かつスキルをもった労働力プールを背景に、今後O&O企業の拡大が市場をけん引すると見込まれています。PEZA認証オフィスビルには非常に高い需要があり、PEZA認証オフィスの現在の在庫は空室率0%となっています。今後の供給は少ないので、デベロッパーはこのチャンスを活用することができるでしょう。


2.レジデンシャル・コンドミニアム不動産市場

(1) 供給

総供給は6,900ユニットですが、2022年までには21,300まで増加する見通しです。これは、既存のレジデンシャルプロジェクトの拡大に加えて、ダバオシティに新規参入するプロジェクトも多いことにあります。現在、ダバオ市場をリードするのは、アヤラランドとフィリンベストランド。今後のマーケットシェアの鍵を握るのはSMDCで、巨大なLane Residences(レーン・レジデンス)プロジェクトで合計3,700ユニットを市場に投入します。続いて、すでに複数プロジェクトを進めるフィリンベストランド、そしてセブ・ランドマスターズが3つのタウンシッププロジェクトに挑みます。


(2) 需要

需要をけん引したのは、地元のHNWI(high net worth individual、富裕層)とOFW(海外で働くフィリピン人労働者)によるものです。開発物件の多くは、複数タワーからなる中層コンドミニアムで、高層コンドミニアムはJPローレルおよびポブラシオン地区の方に移っています。供給量も今後大幅上昇が見られます(6,900ユニット→21,000ユニット)。これをけん引するのもまたHNWIで、OFWはセカンダリーマーケットを占めています。主に投資を目的とするコンドは、堅調なホテルセクターを背景に、コンドテル/BnBになる可能性があります。


3.リテール不動産市場

(1) 供給

現在の総在庫は、延床面積(GFA)にして865,000㎡です。SMプライム(シェア31%)、DSGサンズ(22%)がマーケットシェアを独占しています。セブ・ランドマスターズが、マティーナにおけるタウンシップ開発を発表し、その一環として2つのリテールモールを建設する見込みです。ビスタ・モールもまた市内中心部から離れたマアに参入予定で、延床面積は35,000㎡が予定されています。新規物件は、ダウンタウンやJPローレルエリアから離れる傾向にあります。というのも、これらのエリアでは、SM、アヤラ、DSGサンズのプレゼンスがすでに高いからです。LTSモールズもまた、JPローレル・アベニュー沿いに今後再開発プロジェクトを控えています。


(2) 需要

需要をけん引したのは、ダバオシティですでに営業を行っている既存のローカルブランドや企業の事業拡大によるものです。リテール開発は、ダバオシティ市街地の外へと向かっています。デベロッパーは、すでにJPローレルやダウンタウンエリア(ポブラシオン)の外にリテールプロジェクトを進めています。これらのエリアではすでに飽和状態だからです。バハダ、マティーナ、マア、ブハンギンといったエリアにリテール開発のポテンシャルがあるとして検討する投資家が増える見込みです。


4.ホスピタリティ不動産市場

(1) 供給

2019年前半期、2軒のホテル開発により、250室が追加されました。総供給のうち、1,097室が4つ星で、残りは3つ星以下です。今後2022年までに供給量は、6,000室に達する見込みで、内訳としては3つ星と4つ星となっています。今後2年間で供給量は大きく伸びる見通しです。2018年に完成予定だったものの完成スケジュールに後ずれを主な理由として、2019年内に747室が完成予定、2020年には663室が完成予定です。うち519室は、ホテル101の完成によるものです。セブ・ランドマスターズ社とLTSモールズ社は、今後のプロジェクトとしてコンベンションセンターを建設することを発表しています。


(2) 需要

地元の観光客に加え、MICEと出張者が市場をけん引しています。2018年の観光客数を見ていくと、観光客数が少なかったのは唯一1月のみでした。健全なホテルセクターが、デベロッパーやホテルオペレータに投資の可能性を与えています。SMXコンベンションセンターが唯一5,000人以上を収容できる施設であることから、LGU(地方自治体)は大規模イベントを開催できるコンベンションセンターを求めています。ホテルセクターを補完すべく、ダバオシティへの国際直行便による、ビジネス客および観光客の増加にともない、それらのニーズに応える可能性もありそうです。


(出所:Business Inquirer