[インドネシア] ジャカルタの渋滞対策としてMRTがお披露目される

2019/04/15

[インドネシア] ジャカルタの渋滞対策としてMRTがお披露目


インドネシアの首都ジャカルタで、初となる大量輸送機関、マス・ラピッド・トランンジット(MRT)が2019年3月24日にお披露目されました。この11億USドル(約1,230億円)のプロジェクトは、世界でも最悪と言われるジャカルタの渋滞対策として極めて重要な役割を担うとみられています。

ジョコ・ウィドド大統領、その他関係閣僚は、ジャカルタでの式典に参加し、全長16キロの路線に青信号をともしました。日本の支援を受けて工事が開始してからほぼ6年経っています。

新しいMRTに期待を寄せる多くのジャカルタ市民も、初めての地下鉄に乗ろうと駆けつけ、大統領と一緒に写真を撮ったり、近くのステージでの音楽や伝統舞踊を楽しみました。

この電車システムは、地上と地下を通り、3000万人の人口をかかえる東南アジアの巨大都市の中央部のホテル・インドネシアから南部にわたっています。

これは、従来なら2時間ほどかかっていた2地点間の所要時間をたったの30分に短縮する狙いがあり、毎日渋滞に巻き込まれ何時間も無駄にしてきた通勤者の負担を緩和することができるでしょう。

この新路線は、3月25日以降一般向けに運転を開始、最初の1週間は運賃が無料となりました。

ダウンタウンとジャカルタ北部の港を結ぶ第2路線の建設も式典同日にキックオフされ、完成時期は2024年が予定されています。将来的にはさらなる路線が追加される見込みです。

さらに、衛星都市とジャカルタを結ぶ高架の鉄道ネットワークを建設されることになっています。このプロジェクトは、その刺激の強い臭いで好き嫌いが大きく分かれるドリアンにちなんで、大きなドリアンとニックネームがつけられています。

公共交通機関プロジェクトは、ジョコ大統領が東南アジア最大の経済圏であるインドネシアの運気を上げ、さらにはジョコ大統領の再選を目指すためのインフラ整備政策の一部となっています。

「公共交通機関を備えたならば、人々の移動を容易にし、車やバイクを使うことをやめるだろう」とジョコ大統領はレポーターたちに話しています。


混雑する道路

過去10年以上、2億6,000万人が住むインドネシアの所得は上昇、中所得層を大きく増やし、彼らの自動車所有率を押し上げてきました。

しかし、これにより、バスがあまり利用されない上に、蒸し暑い気候の中を、市の中心部を大量の自動車がノロノロ運転することで、危険なまでの大気汚染と経済的損失がもたらされてきました。

環境問題の専門家は、この新路線により、渋滞に関連する二酸化炭素排出量を約半分は削減できるのではと期待を寄せています。

また、政府が発表した数値によると、65兆ルピア(約5174億円)に上る、渋滞関連による年間の経済的損失にも少しばかり貢献するとみられています。

この数十億円のプロジェクトは、日本の国際協力機構(JICA)からの融資により資金調達されています。

「ジャカルタのMRTは、我々にとっては世紀のプロジェクトだ」とJICAの副理事長、田中寧氏はレポーターたちに語っています。

公共交通機関のアナリストたちは一方で、新路線ができ、運賃が安くても、車を所有することに対する人々の憧れや、道路に満足な舗装がされていない状況では、市内の渋滞緩和にはつながらないだろうと警告しています。

「MRTがすぐに渋滞緩和につながるとは言い難いでしょう。というのも文化や人々の物の見方を変えるのは難しいからです。」

さらに言えば、この新路線で見込む日当たり乗客130,000名は、運行開始から何十年も経った都市鉄道ネットワークに詰め込まれて通勤する人々の10パーセントほどにしか相当しないのです。


(出所:Straits Times