[フィリピン]2019年前半期メトロセブ不動産市場概況

フィリピンを代表する不動産コンサルタント会社JLLは、7月末に2019年第2四半期の不動産市場レポートを発行し、2019年第2四半期のメトロマニラ、セブ、ダバオの不動産市場と、2019年前半期のカラバ(カヴィテ、ラグーナ、バタンガス)の工業用地市場についてのリサーチを発表しました。次に、2019年前半期のメトロセブを見ていきましょう。

メトロ・セブ不動産市場概要(2019年前半期)


1.オフィス不動産市場

(1) 供給

2019年第2四半期の既存在庫は110万㎡となりました。セブシティがシェアの87%を占め、ラプラプが7%、マンダウエが6%となりました。今後(2019年~2022年)は、301,000㎡が供給される見通しで、その大部分がセブシティとなっています。総賃貸可能面積の大きいものでは、アヤラランドとセブ・ホールディングスのセントラル・ブロック2(42,600㎡)、インノランド・デベロップメント・コーポレーションのワン・モンタージュ(42,000㎡)があります。


(2) 需要

メトロセブの空室率は6%を記録、セブシティで堅調な稼働率を見せる一方で、マンダウエシティでは空室率が最高の23%を記録しました。これは、需要がセブパーク地区にかたよったことによるものです。2019年第2四半期に成約したのは合計36,500㎡、最大シェアはセブシティの51%でした。

需要をけん引したのは、ラプラプシティのオンラインゲーミングとセブのESL(English as a Second Language:第二言語としての英語)学校でした。セブには、約150校のESL学校があり、韓国、日本、中国、ベトナム、ロシアからの学生が主に学んでいます。メトロセブの今後の供給のうち、すでに26%が成約済み(プレコミットメント)となっています。セブシティ単独では、合計27.0%が成約済みとなりました。


(3) 賃貸料

平均賃貸料は、月々平米あたり400ペソ~1,100ペソ(約830円~2,300円)となっています。具体的には、内装済みのオフィススペースで、マンダウエシティのJセンターは平米あたり400ペソ(約830円)、セブシティのキャリックス・センターで1,100ペソ(約2,300円)となっています。



2.レジデンシャル・コンドミニアム不動産市場

(1) 供給

32サンソン(プライマリーホームズのブリー、ブレントウッド)およびランカスター・エステート・ベンチャーズのリーフ・レジデンシーズが完成し、585ユニットの新規供給が加わり、在庫は24,500ユニットとなりました。セブ・シティがマーケットシェア63%を占め、次がマンダウエシティの28%となっています。

今後(2019年~2022年)でさらに20,220ユニットが追加される見込みで、セブシティが今後のストックの63%(12,647ユニット)を占めることとなりそうです。うち、7,509ユニットは2019年末までに完成予定です。


(2) 需要

(a) 賃貸市場
セブシティでは、CBDで働く高所得者層により市場がけん引されました。これら高所得者層の多くは、セブ近隣の州の出身者です。マンダウエシティでは、多様な産業の従業員により市場がけん引されました。ラプラプシティでは、主にマクタンの物件を賃貸する観光客により市場がけん引されました。

(b) 販売市場
セブシティでは、市場はエンドユーザーよりも投資家に独占されました。これらの投資家の多くは、賃貸目的、値上がり後のフリップ目的、両方を目的とした国内外のバイヤーです。マンダウエシティで物件を購入した人々の多くは、国内外の投資家に加え、住まいをアップグレードしたいエンドユーザーによる中層物件の購入もみられました。ラプラプシティでは、近隣のホテルやリゾート、特にブランド物件からのスピルオーバー効果が見られました。


(3) 賃貸料

平均賃貸料は、月々平米あたり500ペソから1,520ペソ(約1,030円~3,130円)でした。マンダウエシティが賃貸料の最高額を記録、これはPOGOの人気が集まってきていることによる事業活動の増加によるものでした。
 

(4) 販売価格

完成済み物件では、平均販売価格は平米あたり52,000ペソから316,000ペソ(約107,300円~652,890円)となっています。セブシティが平均販売価格の最高値を記録する一方で、マンダウエシティが最低値を記録しました。未完成物件では、平均販売価格は平米あたり53,000ペソから177,000ペソ(約109,420円~241,530円)となっています。


3.リテール不動産市場

(1) 供給

2019年第2四半期の総在庫は、170万㎡となりました。セブシティがシェア最大の83%、続いてマンダウエシティが11%となっています。今後(2019年~2022年)の供給で63,000㎡が追加される見込みで、セブシティが今後の供給の88%を占めています(アヤラモールズ・セントラル・ブロック42,000㎡)。

ラプラプシティでは、シティ・タイムズスクエア、ガイサノ・パセオ・グランデ、マクタン・タウンセンターの3件の新規プロジェクトが2019年末までに完成予定です。これらは、セブ・マクタン国際空港の新ターミナルによる集客を見込んでいます。マンダウエシティは新しい物件の見通しは今のところありません。


(2) 需要

メトロセブが、引き続きメトロマニラ以外で最大のリテールハブとなっています。需要をけん引するのは、飲食店業界で、韓国系のレストランと観光客が占めています。飲食店業の戦略の一つとして、地元の旅行代理店とタイアップして、観光客を引き込むというものがあります。


(3) 賃貸料

平均賃貸料は、月々平米あたり500ペソから1,500ペソ(約1,030円~3,090円)となっています。


4.ホスピタリティ不動産市場

(1) 供給

ロビンソンズ・ランドによるドゥシット・タニ・リゾート・マクタン・セブ・リゾートが完成。新たに300室が加わり、在庫は合計16,703室となりました。セブシティがシェア最大の55%、次にラプラプシティの30%となっています。今後(2019年~2022年)で新たに5,074室が追加される予定で、ラプラプシティが今後の追加分の59%(3,000室)を占めています。2,080室が2019年末までに完成見込みです。


(2) 需要

メトロセブでは75%という安定的な稼働率を記録しました。ラプラプシティが堅調な稼働率を見せており、これは市内に空港があること、またビーチに近いことなどが理由となっています。需要をけん引したのは、MICE*市場と国内外の観光客でした。2018年、フィリピン人・外国人合わせて550万人の観光客がセブを訪れ、2017年の490万人を上回りました。2018年、セントラルビサヤ諸島が観光業で得た収益は442億ペソ(約91億円)に上ります。

*Meeting(会議・研修)、Incentive(招待旅行、travel, tour)、Conference(国際会議・学術会議)またはConvention、Exhibition(展示会)


(3) 室料

平均室料は、セブシティでは890ペソから47,500ペソ(約1,840円~97,960円)、マンダウエシティでは、940ペソから60,000ペソ(約1,940円~123,760円)、ラプラプシティでは900ペソから134,000ペソ(約1,860円~276,350円)となりました。クリムゾン、モーベンピック、その他ラプラプシティの高級ホテルが、ラプラプシティのプレミアムルームの室料を引き上げる形となりました。

(出所:Business Inquirer