[フィリピン] 不動産業界の見通し②

2019年も終わろうとしています。フィリピン不動産業界を振り返り、今後の見通しをまとめたこちらの記事を紹介していきましょう。

[フィリピン] 不動産業界の見通し②

前回から、2回にわたってお届けしています、フィリピン不動産業界の見通し。今回は、2020年フィリピン不動産市場のキーワードをご紹介していきましょう。

2.2020年フィリピン不動産業界のキーワード


■POGO

フィリピンと中国との両国関係の改善により、過去3年間で中国マネーが大量に流入しました。これにより、主に中国本土の中国人が支配するオフショア・ゲーミング会社が、オフィス市場の主要なドライバーとなり、レジデンシャルやリテール市場にもスピルオーバー効果を生み出しました。現在までに、オフショア・ゲーミング事業者は、フィリピン全体で、120万㎡のオフィススペースを占めていると言われています。

POGOがメトロマニラ以外へも拡大し、クラーク、セブ、ダバオ、イロイロ、バコロドといった都市の経済活動や不動産活動の地固めをするでしょう。住宅、リテール、レクリエーション施設を併せ持つ、オフショア・ゲーミング事業にかかわる外国人労働者のニーズに合わせた、複合用途開発を行う不動産会社も出てきそうです。


■税制改革の不確実性

政府の税制改革の不確実性にかかる懸念が、アウトソーシング業界のテナントの拡大計画を失速させています。政府が、メトロマニラにおける経済特区申請の承認を廃止すれば、成長はさらに鈍化することが見込まれます。


■外国企業とのジョイントベンチャー

外国人投資家やデベロッパーからの関心の高まりも、市場における価格上昇に貢献してきました。外国企業とのジョイントベンチャーによるプロジェクトが、市場でも最も高値を付けているグループに属しますが、成約状況は好調です。コリヤーズは、持続的な利回りに誘われて外国企業が集まるにつれ、このようなパートナーシップが増えるとみられています。

 
■インフラ整備(Build Build Buildプログラム)

政府の大規模なインフラプロジェクト「ビルド・ビルド・ビルドプログラム」は、不動産と関連する産業に活気を与えてくれるでしょう。これらのインフラプロジェクトには、メトロマニラ地下鉄、マカティ地下鉄、LRT延長プロジェクトなどがあります。デベロッパーは、ケソンシティ、タギッグシティ、マカティシティ、パシグシティ、カヴィテ州バコールなどインフラプロジェクトに近い土地の確保に急ぐべきです。コリヤーズは、メトロマニラ以外の主要都市におけるインフラプロジェクトの完成が、これらのエリアの再開発を促し、オフィス・レジデンシャル供給を増やすとみています。


■コリビング

コリヤーズは、デベロッパーは、コリビング部門の繰延需要に対応すべきだとしています。

マカティCBDの従業員の約45%は、メトロマニラの他のエリアから通勤してきており、ビジネスエリア付近のコリビング施設に滞在したいと考えていると言います。毎月2,000ペソから4,500ペソ(約4,300円から約9,700円)を通勤代に使うよりも、もう少し多く(月々ベッドあたり6,000ペソ(約12,900円))払ってもいいので、職場に近いコリビング施設に住みたいと考える人も多いようです。

メトロマニラの年々悪化する渋滞は、大学生にとっても厳しいものです。大学近くのコンドミニアムプロジェクトも増えてきています。


■店舗の空室率対策

今後3年間で、さらなるショッピングモールのオープンが予定されており、年間300,000㎡の賃貸可能店舗スペースの完成が見込まれています。ホリデー関連消費とOFWからの送金に支えられ、フィリピン人の購買力が高まる中、デベロッパーは引き続き新しいモールをオープンしたり、既存のモールを拡張したりするものと考えられています。

モールを手掛けるデベロッパーが空き店舗スペースを埋める手段として、フレキシブル・ワークスペース事業者と組むことが考えられます。コリヤーズUSAのリサーチによると、フレキシブル・ワークスペースがショッピングモール内にあることで、来店客数を上げ、ショップやレストランでの支出額も結果として伸ばすことができるといいます。


■中国人市場

2016年から2018年までで、フィリピンを訪れる外国人数が10~15%増加する中、中国人観光客数は、同期間内に約37%も伸びています。過去12か月間でも、中国人観光客がホスピタリティ部門をけん引し、ホテル稼働率・支出額に貢献する動きが見られます。コリヤーズは、今後クラーク、セブ、ダバオを含む主要エリアに3つ星、4つ星ホテルを開発することで、より中国人観光客を取り込めるのではと考えています。

レジデンシャルについても、中国人のテナントにより、賃貸料および不動産価格の上昇がみられるでしょう。中間価格帯~高級価格帯のコンドミニアムには持続的な需要がみられそうです。ダウンサイドとしては、メトロマニラのオフィス街付近の賃料と不動産価格が吊り上がり、フィリピン人がマイホームを購入しようとしても、カヴィテ、ラグーナ、ブラカン、リサールあたりの物件を購入せざるを得なくなることでしょう。

デベロッパーには、中国人テナントからより良い利回りを引き出すとともに、オフィス街の近くに住みたい社会人向けのコリビングスペースを増やしていく必要がありそうです。また、地方におけるアフォーダブルな物件の開発も期待されます。

■REIT(不動産投資信託)

来年は、不動産業界に新たな風が起こりそうです。そのうちの一つが、証券取引委員会がまとめようとしているREIT法の施行規則です。これが2020年にリリースされれば、REIT法が完全に施行されることとなり、より多くの投資を不動産業界に呼び込むことになりそうです。

REITは、資本市場を活性化させ、国内・国外両方の投資家は受動的所得と長期的な値上がり益を受けることができるようになります。REITはまた、都市部・郊外部での開発により多くの資本をもたらすことができます。

デベロッパーは、政府のメトロマニラの渋滞緩和政策を支援するため、地方に開発する新プロジェクト、改装や再開発のための資金を必要とする価値の高い資産を見極める必要があります。


■鈍化

デベロッパーの中には、スキルのある労働力が不足していることを受けて、レジデンシャルプロジェクトの立ち上げを遅らせるものもあります。この労働力不足状況は、政府のインフラプロジェクトの推進すれば、さらに悪化します。

結果として、これがメトロマニラ以外の主要ビジネスハブにおけるマスタープランに基づくコミュニティーの開発の妨げとなることが考えられます。ドゥテルテ大統領の任期が満了する2022年までに、政府がインフラの黄金時代を築くことができない場合、公共交通指向型開発を最大化しようとしているデベロッパーの拡大計画に影響を及ぼすことがありそうです。


■Eコマース

Eコマースと物流における持続的な成長が、海港、空港、高速道路、鉄道付近のエリアの倉庫需要を促進しています。デベロッパーは、テクノロジーに詳しいEコマースや物流会社の需要に応じることができるように、既存の倉庫を改装・再開発していくことが求められそうです。

(出所:Business Inquirer