[ベトナム] パンデミックの収拾がつけば不動産市場は回復

2021/06/29

[ベトナム] パンデミックの収拾がつけば不動産市場は回復


Covid-19パンデミックがベトナムの不動産市場を減速させましたが、多くの専門家が、このような減速は一時的なもので、ひとたびウィルスの収拾がつけば立ち直るだろうと期待を寄せています。


不動産コンサルタント会社サヴィルズ・ベトナムのシニアマネジャー、スー・ゴック・クオン氏は、Covid-19感染が2021年第2四半期に広がったことで社会経済の発展に多大な影響を及ぼしたと語っています。不動産市場は購買力を失い、投資家はより慎重な姿勢を取るようになりました。


ベトナム最大の不動産ポータルbatdongsan.com.vnの統計によると、3月にピークを迎えたのち、不動産市場への関心は減少の兆しを見せています。


同ポータルにおける4月の不動産検索は、3月と比較して18%近く減少、土地は約21%、アパートメントは17%減少しました。5月も関心は減り続け、土地の検索数は19%減少しました。


一方で、アパートメントの価格は、昨年の同時期と比較して3%ほど上昇しました。


ベトナム不動産業者協会(Vietnam Association of Realtors)の副ディレクター、グエン・バン・ディン氏は、供給不足が、2021年第1四半期のアパートメント価格の上昇につながった大きな理由であると説明しています。


サヴィルズ・ハノイのダイレクター、マシュー・パウエル氏は、Covid-19パンデミックが不動産市場に影響を及ぼし続け、土地、市場セグメント、プロジェクトによって、発展が不均等になるだろうと考えています。


パウエル氏は、ワクチン接種プログラムとともに、ウィルスそのものを封じ込めることが重要で、ウィルスの封じ込めに成功すれば、投資資金が経済に流れ込むようになるだろうと述べています。


一方で、パウエル氏は、個人投資家は、意思決定をする前にしっかりと不動産プロジェクト、計画およびインフラ開発の情報を吟味しておく必要があると忠告しています。


コンストラクション・アンド・マテリアル・トレーディンググループのマイ・ドゥック・トアン氏は、不動産市場だけでなく、他のセクターもパンデミックの進展を固唾をのんで見守っていると言います。


「市場はいまだ予測困難です。国内の土地取得フィーバーが勃発するかもしれません。パンデミックの封じ込めに成功したら、市場は今年後半期には立ち直りを見せてくるでしょう。」


また、不動産市場開発は、パンデミックの行く末に大きく左右されるとして、過去の3つの感染の波で、複数のセグメントで価格の上昇が見られ、今年初旬には地価の大規模な上昇があったとも語っています。


フードン・グループのジェネラルマネージャー、ゴ・クアン・フック氏は、不動産市場には大きな発展の可能性があり、コロナは短期的な影響しか及ぼさない、と考えています。


フック氏は、不動産プロジェクトの法的な問題が早急に対処されれば、不動産市場は堅調な発展を見せると予測しています。


ダイ・フック・ランドのダイレクター、グエン・ティ・タイン・フオン氏は、2020年初より現在に至るまで、ウィルスの感染拡大にもかかわらず、不動産市場は堅固な基盤を維持し続けていると述べています。大きな価格の下落や売却はみられず、取引は好調で価格の上昇も見られたということです。


クオン氏は、ベトナム経済がいまだコロナの影響に苦しんでいることから、不動産市場が画期的な発展を遂げることはなさそうだと考えています。


最近行われた取引の多くは、不動産市場に投資する手元資金のある長期的な投資家によるものだったということです。


市場の回復シナリオについて、住宅セグメントが最も堅調で、高い需要にけん引されそうです。クオン氏は、パンデミックが所得に影響を及ぼす限りにおいては、住宅需要はよりアフォーダブル住宅に集中するだろうと述べています。


また、リゾート・観光不動産市場も引き続き苦戦し、リテール不動産は、拡大するオンラインプラットフォームとの競争に手こずりそうだとも加えてイン佐生。工業不動産への投資家の関心は高止まりしていますが、まだ渡航制限が出ているので、工業不動産投資は思ったほどよくはならないかもしれない、とクオン氏は付け加えています。



(出所:Vietnam Plus)

(画像:Photo by Steffen B. on Unsplash )