2024/05/09
フィリピン統計局(PSA)が2024年5月9日に発表したところによると、2024年第1四半期のフィリピンの国内総生産(GDP)は前年同期比で5.7%増加しました。
▼GDP成長率の推移(出所:Philippines Statistic Agency)
今回の成長率は、2023年第4四半期の5.5%増を上回ったものの、2023年第1四半期の6.4%増を下回る結果となりました。
PSAのデニス・マパ主席統計官は記者会見で、第1四半期の成長に大きく貢献したのは金融・保険業、卸売・小売業、自動車・オートバイの修理業、製造業であると述べました。
農林水産業、工業、サービス業のすべての主要経済部門は、それぞれ前年同期比0.4%、5.1%、6.9%のプラス成長を記録しました。
国家経済開発庁(NEDA)のアルセニオ・バリサカン長官は、フィリピンの第1四半期のGDP実績は、エルニーニョ現象と地政学的緊張にもかかわらず、経済の回復力を示しているとコメントしています。
フィリピン政府の経済チームは、2024年のGDP目標を6〜7%、2025年は6.5〜7.5%と予測しています。アジア開発銀行は、フィリピンの経済成長率を今年は6%、2025年には6.2%と予測しています。
オランダを本拠とするING銀行は、今回のGDP成長率は、市場のコンセンサス予想(5.9%)に満たなかったものの、フィリピン中央銀行(BSP)は金利を据え置く可能性が高いと指摘しています。
フィリピン中央銀行(BSP)は5月16日に、次の金融政策を決定する会合を開きます。 レモロナ中銀総裁は、金融理事会で、インフレ率が予想より鈍化していることやGDPがコンセンサスを下回っていることを織り込む可能性が高いと見られています。
ING銀行は、現在の政策設定を調整することはないだろうと述べていますが、インフレ率の持続的な低下と成長面での失望は、今年後半に米国FRBが利下げに踏み切るのと同様に、BSPも利下げに踏み切る可能性があるとも指摘しています。レモロナ総裁は、2025年第1四半期までにBSPが最初の利下げを実施するとの見通しを示していましたが、直近のGDP成長率実績の報道を受けて、利下げ時期を前倒しする可能性もありそうだとしています。
市場参加者は、来週のBSPによる利下げはないと考えているようで、GDP成長率の発表後、フィリピンペソにほとんど変動はありませんでした。
(出所:Xinhua、PSA、ING)
(画像:UnsplashのWander Fleurが撮影した写真)
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