2018/02/06
シンガポール不動産価格上昇に転じる
欧米アジア主要都市と相反したサイクルにあるシンガポール不動産市場です。
2013年をピークに調整をしていた住宅価格が緩やかな上昇に転じました。2016年は3.1%下落でしたが、2017年1.1%の上昇です。
過去数年間の調整局面で 地元デベロッパーはランドバンクを取得していなかたところ、不意打ちをかけたように中国や香港のデベロッパーが強気の入札。完成在庫が底をつく中、政府土地売りだし落札価格が大幅に上昇しています。
12月に落札されたシンガポール川沿いの土地はプロットレシオ(*1)辺り$1,733と1年前に川向いで落札された現Martin Modernの土地落札価格を4割上回り、大きな話題となりました。商業複合物件なので単純に比較するべきではありませんが、数年後に販売されるコンドミニアムは建築コストとマージンを入れると$2500/平米フィート (約26,911ドル/平方メートル)超えてくるものと思われます。
2017年度は$100億ドル強の住居がコレクティブセール(*2)といわれる建て替えでデベロッパーに落札されており、4000戸近い住居の代替需要が今年中旬から来年にかけて発生します。現在120余りのコンドミニアムで建て替えの議論が進んでおり、代替需要はこの数年続くでしょう。
シンガポール政府人口白書によると、現在550万人の人口は2030年までに650万人程度まで引き上げることが発表されています。世界一のバイリンガル教育を子供に受けさせるため、経済成長の激しい近隣諸国やインド、中国の富裕層がシンガポールに住居を構えることも多く、高級物件の売れ行きは当面好調が見込まれます。
(執筆協力:PropNex Realty 渡辺幸子氏)
<脚注>
*1 プロットレシオ:プロットレシオとは、土地面積に対する建物の総床面積の比率である。
プロットレシオ =総床面積/土地面積(出所:シンガポール都市再開発庁)
*2 コレクティブセール:いわゆる一括売却のこと。2戸以上の物件が、一人の買い手に売却されること。
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