[フィリピン] 2021年第4四半期のGDP成長率の着地点は?

2022/01/13


イギリスを拠点とするシンクタンク、パンテオン・マクロエコノミクスは、経済が徐々に再開する中、2021年11月の堅調な輸入活力を取り戻した見られるように、活力を取り戻した内需が2021年第4四半期の国内総生産(GDP)を押し上げ、前年同期比で6.7%になるだろうとと予測しています。



世界銀行は、最新のレポートの中で、フィリピンおよび域内のその他の観光に依存する経済圏は、今年になって始めてパンデミック前のレベルに戻ることができそうだと述べています。


パンテオン・マクロエコノミクスの上級アジア担当エコノミストのミゲル・チャンコ氏は、第4四半期の予測について、第3四半期の7.1%成長を下回るものの、第3四半期のGDPから4.1%ほど増加するだろうと述べています。


チャンコ氏の2021年第4四半期の対前期予測は、第3四半期の対前期実績3.8%よりも高くなっています。


チャンコ氏は、「貿易の数値からも、第4四半期は内需が幅広く増えてきていることが明らかに見て取れます。ただ、11月の消費財および資本財の輸入の急増は持続的ではないでしょう。」と述べています。


最新の政府のデータによると、フィリピンの2021年11月末時点での外国貿易額は、対前年同期で24%増の1,747億ドル(約20兆円)となりました。主に、輸入が30.4%増の1,063億ドル(約12兆円)となったことが貢献しました。


チャンコ氏は、2021年10月~12月の個人消費について堅調な1.8%増を予測しています。ただし、2020年のベースが高いことから、第3四半期の7%増からは減速します。


一方で、チャンコ氏は、低いベース効果が第4四半期の投資収益を5.5%ほど押し上げると見ています。「これについては、在庫がおそらく大きく関係していますが、年末までに設備投資全体がパンデミック前のレベルに戻るには十分でないでしょう。」


しかし、チャンコ氏は、貿易収支も第4四半期の経済成長の足枷になりうると述べています。世界的な半導体不足で、フィリピンの半導体の利益がまだ出せていないことから、輸出がいまいち伸び悩んだからです。



世界銀行は、レポート「2022年1月 世界経済見通し(Global Economic Prospects)」で、「観光に依存する経済圏がパンデミック前のレベルに戻るのは、2022年(カンボジア、マレーシア、フィリピン)か、2023年(タイ)だろう」と述べています。


2021年12月の予測と同様、世界銀行は、フィリピンの経済成長率の着地点として、2021年は5.3%と、政府が上方修正した5~5.5%の目標レンジの中央あたりを予測しています。


世界銀行の2021年の成長率予測で、フィリピンは東アジア・太平洋地域では、中国の8%に次いで高い数値となっています。


世界銀行は、長引くパンデミックに加えて、フィリピン経済は、世界的な観光業の不振、高いインフレ、そして強い台風による被害に見舞われたことについても触れています。一方で、フィリピンは、長引くパンデミックの中でも、海外で働く労働者からの弾力性のある送金による恩恵を最も受けた国の一つでもあります。



世界銀行は、フィリピンの2022年のGDP成長率を5.9%、2023年を5.7%と予測しており、と、政府の目標である2022年7~9%、2023年6~7%よりは低くなっています。


世界銀行の2022年の予測では、フィリピン経済は、持続的な公共投資と回復する家庭消費に支えられて、パラオの12%、フィジーの7.8%に次いで域内で3番目に拡大することになっています。



依然として脆弱な景気回復に加えて、Covid-19のオミクロン株がもたらすリスクもあり、世界銀行は、フィリピン、インドネシア、マレーシア、そしてタイについて、各国政府が財政政策支援を段階的に解消していくと予想しています。




(出所:Business Inquirer

(画像:Photo by Renato Marzan on Unsplash )