[フィリピン] 2022年第1四半期の公共インフラ支出増

2022/05/26


5月9日の大統領選挙を前に、新規プロジェクトに待ったがかかり、政府のインフラプロジェクトの展開が減速する中でも、フィリピンの2022年第1四半期の公共インフラ支出額は、前年同期比で4%増の2,528億ペソ(約6,150億円)となりました。


2022年5月24日付の予算行政管理省(Department of Budget and Management (DBM) )のデータによると、2022年1月~3月の、出資および政府系企業への補助金、さらに地方政府への配分も含めた、公的資金からのインフラ支出は、昨年同時期の2,430億ペソ(約5,911億円)から増加しました。


しかし、政府が実際にインフラその他資本的支出に支出した金額は、2021年3月末時点の1,952億ペソ(約4,748億円)から1,902億ペソ(約4,627億円)に2.6%減少しました。


レポートの中で、DBMは、政府の支出の減少について、主に「定例のインフラプログラムの支払タイミング」によるものだと報告しています。


「公的資金からの支出額は、2022年の国政・地方選挙の実施にあたり、選挙法(Omnibus Election Code)に従って特定の公的支出について45日間の禁止期間があるため、4月、5月は減速することが見込まれます。支出が正常化するのは、禁止期間が終わった5月末にかけてでしょう。」


しかし、3月単独では、政府のインフラおよび資本的支出は前年同月比で14.2%、前月比では81.4%増の1,002億ペソ(約2,438億円)となりました。


DBMは、3月の支出増について、「完了または部分的に完了した公共事業道路省(DPWH)のインフラプロジェクト、国防省(DND)によるフィリピン国軍の近代化プログラムの見直し、教育省(DepEd)の基礎教育施設および学習ツール・設備の引き渡しにともなう支払い」だと説明しています。


2022年、政府は、国民総生産(GDP)の5.9%に相当する、1兆2,700億ペソ(約3.1兆円)をインフラに充てる計画です。2021年、公共インフラ支出は、過去最高の1兆1,200億ペソ(約2.7兆円、GDPの5.8%)に達しました。


ロドリゴ・ドゥテルテ大統領の経済チームは、ファーディナンド・マルコスJr.次期大統領にもインフラ開発を優先してほしいと考えているようです。その資金の一部は、提案されている財政再建および資金調達計画に基づき、新しい包括的税制改革を行うことで調達される計画です。


この財政再建には、新税または既存の税率の引き上げ、優先順位の低い部門の予算を削ってのインフラ支出、成長ドライバーの優先が含まれ、これらによって政府の歳入と膨らむ公的債務と債務返済から抜け出したい考えです。


域内の企業投資顧問会社デザン・シーラ&アソシエイツは、5月16日付のレポートで、ドゥテルテ政権の野心的なインフラ開発プログラムである「ビルド・ビルド・ビルド」のもと、マルコスJr.政権がインフラ支出を続けるのであれば、投資家もやや楽観的な気持ちになるだろう、と述べています。


「マルコスJr.は、2021年末のインタビューで、ドゥテルテ大統領の「ビルド・ビルド・ビルド」を継続し、歳入の一部を中小零細企業に割り当てたいと話したことがあります。」


カルロス・ドミンゲス財務大臣が議長を務める経済開発クラスター(Economic Development Cluster(EDC))は、最近のレポートの中で、ドゥテルテ政権は、ビルド・ビルド・ビルドの一部を構成する40件の旗艦インフラプロジェクト、総額3,652億ペソ(約8,886億円)相当を実績として残したと報告しています。




(出所:Business Inquirer
(画像:Photo by Jeriden Villegas on Unsplash )