2022/02/28
企業の景況感の高まり、ワクチン接種率の上昇、そして複数の景気刺激策の可決を受けて、メトロマニラのオフィス市場は2022年に回復を始めそうです。
総合不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンは、メトロマニラのオフィス市場は、2年連続で正味成約面積はマイナスでしたが、2022年はプラスに転じるだろうと報告しています。正味成約面積は、2つの期間を比較したときの占有スペースの差を表したもので、コリア―ズの予測では、2022年には307,000平米に達しそうです。2021年は-273,000平米でしたので、大幅改善となります。
このプラスの成約面積をけん引するのは、従来企業とIT-BPM企業です。コリアーズは、企業の景況感の改善、ワクチン接種率の上昇、そして複数の景気刺激策が可決されたことで、オフィス需要の回復が後押しされるだろうと述べています。
正味成約面積プラスに貢献するのはどの業界?
2022年の景況感は改善する見通しです。というのも、コミュニティ隔離措置の警戒レベルの引き下げが見込まれていること、そして社会全体がウイルスとともに生きる術を身に着け始めたからです。警戒システムをフィリピンが導入したのは2021年9月、それまでの広い範囲でのロックダウンから、コロナウイルスの感染者数が急増しているエリアに限って局所的なロックダウンを行う方法に変更しました。このアプローチで、国の経済活動を継続しつつ、2021年9月のデルタ株、そして2022年1月のオミクロン株による感染者数の封じ込めに成功しました。
フィリピンの2021年第4四半期のGDP成長率は7.7%、通年では5.6%と発表されています。経済成長と消費者活動は、制限が緩和されるにつれて活発になり、この状況は2022年を通じて保たれるとみられています。これは、投資誘致の点でも、またオフィス市場にとっても、事業の再開や拡大によりオフィススペースの需要が押し上げられ、リースの取り消しや契約更新なしといった状況を減少させるため、幸先の良いものになりそうです。今後の稼働率は上がってくると見られています。
ワクチン接種率の上昇も、景況感の改善には不可欠です。コリアーズによると、人口の約56%がワクチン接種を完全に終了しており、景気もオフィスの成約面積も並行して伸びてくるだろうということです。
保健衛生上の規則と併せて、政府は経済を急発展させるための法律をいくつか導入しています。例えば、法人税率の引き下げを行うCREATE法、外国持分の引き上げを認めた外国投資法(FIA)、公共サービス事業者の投資要件の緩和にかかる公共サービス法(PSA)改定、外国の小売業者の投資要件の緩和に関する小売業自由化法(RTLA)などです。これらの法律により、国内の投資環境に確実性が増し、経済の自由化、投資家にかかる制約の低減、外国直接投資の促進が期待されています。さらに、IT-BPM企業も、米国などの先進国がパンデミックから回復する中でコスト管理のためにアウトソーシングを活用することが見込まれることから、拡大の必要性が出てくると見られています。
コリアーズは、メトロマニラのオフィス市場は、景況感の高まりを背景に成約面積は正味でプラスになると見込んでいます。景気の回復が始まり、リース取り消しや更新なしの状況が減少してくるにつれて、2022年以降の改善したビジネス環境を活用し、成長の勢いを持続させるために、家主とテナント企業がよく協議して、相互に恩恵を得られるような方策を見つけていくべきだろうと述べています。
▼年間オフィス供給量と正味成約面積(濃青:供給量、水色:正味成約面積、単位:平米)(出所:Colliers)
(出所:Colliers)
(画像:Photo by Ian Romie Ona on Unsplash)
もっと詳しく知りたい方はこちら