2020/12/24
[フィリピン] アジア開発銀行、フィリピンのインフラ、医療、雇用回復の支援拡大
アジア開発銀行(ADB)のフィリピン向けソブリン貸付は、2021年から2023年までに94億ドルに上る見通しです。フィリピン政府が、コロナ禍の中経済を活性化するために、少なくとも3分の2がインフラ、医療、そして雇用回復に充てられることになっています。
2021年~2023年のフィリピンの国家運営事業計画(Country Operations Business Plan)は、ビジネスと労働市場に与えた損害を修復し、経済回復を加速させ、公衆衛生サービスへのアクセスを拡大させるために設計された政府のプログラムおよび政策を支援します。
ADBのアフメッド・サイード副行長は、新しい国家運営事業計画を策定することで、フィリピンがパンデミックによって被った社会経済的な影響を乗り越える支援をしたいと話しています。特に、大きな雇用乗数効果があり、接続性が向上することで長期的な経済成長を助ける、インフラプロジェクトに注力していく方針です。
ADBのフィリピン担当ケリー・バード氏は、「国家運営事業計画は、ビジネスセクターに構造改革を起こすようなプログラムやプロジェクトを通じて、若者の雇用を促し、職場でのスキルアップを図り、今後3年の事業および雇用の回復に総合的なアプローチをしていきます。」と説明しています。
ソブリン貸付のうち52%超は、交通機関プロジェクト(鉄道、道路、橋)を支援します。約12%は、政府によるユニバーサルヘルスケア法*の実施を通じて、公衆衛生システムの拡大を助けることになっています。
*参考資料「経済産業省」
残りの資金は、フィリピン南西部のパラワン州で環境に優しい都市開発プロジェクトの支援、社会保障の拡大、そして農業の競争力、公共部門管理、および資本市場の発展の促進を支援します。
2021年のADBの貸付の約半分(17.5億ドル)は、南北通勤鉄道(NSCR)システムの一部である南部通勤鉄道プロジェクトの第1弾に充てられます。この南北通勤鉄道プロジェクトは、フィリピン政府の「ビルド・ビルド・ビルド」プログラム最大のインフラプロジェクトです。完成すれば、53キロにわたる南部通勤鉄道は、メトロマニラをラグーナ州のカランバなど、南部の諸エリアと結びます。
ADBは、すでにマロロス-クラーク鉄道プロジェクトへの資金提供も行っています。こちらのプロジェクトは、NSCRシステムの北部の区間を建設するプロジェクトです。今年は、5件の土木工事25億ドルが
2021年のその他のインフラプロジェクトには、メトロマニラ橋建設プロジェクトがあります。これは、メトロマニラ内の交通渋滞緩和のために、3つの橋を建設するプロジェクトへの資金提供です。ダバオ公共交通機関近代化プロジェクトでは、近代的、効率的、かつ良心的な値段設定の公共交通システムを、土地面積では国内最大のダバオ市に建設するというものです。パラワン州での持続可能な観光開発プロジェクトでは、観光関連企業を支援し、下水・廃水の処理および排水を含む、都市設備への資金援助を行います。
2021年、ADBは、フィリピン政府が、ユニバーサルヘルスケアプログラムの下、フィリピン国民に包括的かつ手ごろな値段の医療サービスを提供するのを支援するため、5億ドルの医療セクター向け融資を提供することになっています。
政府がより多くの職を創設し、労働者のスキルアップを図るために、ADBは、政策に基づいた、若者の卒業から就職までの移行をスムーズにするためのプログラム、さらにスキル開発のための技術的かつ職業的な教育およびトレーニングを準備しています。ADBはまた、政府と協力して、2022年の事業・雇用回復プログラム融資も進めていくことになっています。
(トップ画像:Photo by Kristine Wook on Unsplash)
もっと詳しく知りたい方はこちら