2023/04/10
アジア開発銀行(ADB)は、フィリピンの2023年の経済成長率を6%に据え置いていますが、来年については6.2%と速いペースで経済が拡大することを予測しています。
2023年4月4日に行われた会見で、ADBフィリピンの国担当ダイレクター、ケリー・バード氏は、今年の国内総生産(GDP)の成長をけん引する要素として、観光業界、雇用および小売の回復、そして生産業界と政府のインフラ支出の継続的な増加を挙げています。
しかし、バード氏は、先進諸国の景気後退の速度が予想よりも急激であること、地政学的な緊張の高まり、物価の高止まりなどにより、リスクは残ると話しています。
バード氏は、国内経済については楽観的で、「今年、来年とそのポテンシャルを発揮して、高中所得国になるという目標に向けて軌道に乗っている」と話しています。
「他の経済圏同様、フィリピンでは、気候変動の影響および労働市場に与える新興テクノロジーの影響がますます大きくなるだろう」とも述べています。
ADBの成長率予測は、政府の想定範囲である6~7%に収まっています。政府の想定範囲は2025年まで同じです。
バード氏は、国内の金利上昇の影響が経済成長に現れ始めるのは今年の後半からで、6か月から18か月ほど続くだろうと述べています。
フィリピン中央銀行(BSP)は、パンデミックが国内経済に与える影響と、高止まりするインフレ率に対応するために、2022年5月から主要金利を引き上げ始めました。
ADBは、今年のインフレ率を平均6.2%、来年は減速して4%と予測しています。
バード氏は、2023年末を迎える前にインフレ率が4%台にまで下がると考えています。
さらに、今年の国内経済にとって成長率は問題ではないが、輸入制限などにより一部の食品品目で供給に成約が出ていることで、インフレ率が膠着状態にあると述べています。
「しかし、インフレ率はピークに達しつつあると考えており、今後数カ月で下降をはじめ、今年末にかけて4%に向けた回復の兆しが見えればと思います。」と話しています。
高止まりするインフレが国内経済成長に与える影響は、一部、インフラ支出の増加で相殺されると見られています。バード氏は、このインフラ支出は、経済および包括的な経済に長期的な影響を与えるだろうと述べています。
(画像:UnsplashのAvel Chuklanovが撮影した写真)
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