2022/07/25
アジア開発銀行(ADB)は、2022年7月21日に発表したレポートの中で、フィリピン経済は、2022年、コロナ関連の行動制限の緩和、コロナワクチン接種プログラムの拡大、投資および家庭消費の回復を受けて、当初予想よりも急速に成長すると予想しています。
▼ADBのフィリピンGDP成長率予測(出所:ADB)
アジア開発見通し(The Asian Development Outlook(ADO))2022 増刊号では、フィリピン経済は2022年に少なくとも6.5%成長すると述べられています。4月の時点の予測6.0%から上がっています。2023年の成長予測は、6.3%に据え置かれています。2022年後半期のダウンサイドリスクとして、ADBは、大規模経済圏の景気減速が予想を上回る可能性、世界的な物価高の継続、厳しい財政状況を挙げています。
「フィリピン経済の成長の勢いは加速しており、理想的な成長曲線に近づいている」と、ADBフィリピン国担当ディレクターのケリー・バード氏は述べています。「力強い国内需要が、雇用と海外からの送金額の伸び、投資拡大、そして大規模公共投資プロジェクトに支えられ、パンデミックの経済的な影響からの回復を下支えするでしょう。」
コロナワクチンの接種率も拡大しました。若者世代の接種が進み、オミクロン株の健康への被害も比較的軽く済んだことで、政府は今年の第1四半期より、規制の緩和に踏み切りました。これにより、ほとんどの民間事業はオペレーション拡大を促進し、失業率はパンデミック前のレベル近くまで落ち込みました。2022年5月の失業率は6.0%と、1年前の7.7%から下がってきています。
インフレーションは加速し、2022年に4.9%、2023年は4.3%と予測されています。世界的な価格の高騰が背景です。インフレ予測も、ADBの4月時点の予測である、2022年の4.2%、2023年の3.5%から上方修正されています。
フィリピン政府は、「ビルド・ビルド・ビルド」プログラムのもと、優先順位の高いインフラプロジェクトへの公共投資を継続実施していくとみられています。ADBの資金援助を受けるこれら優先プロジェクトには、マロロス・クラーク鉄道プロジェクト、南通勤鉄道プロジェクトがあり、いずれもメトロマニラをルソン島の南北の州とをつなぐ安全で早い効率的な輸送手段を提供する南北通勤鉄道システム(North–South Commuter Railway)の一部を構成します。
ADBはまた、EDSAグリーンウェイズ・プロジェクトとメトロマニラ橋梁プロジェクトの資金援助も行っています。前者はメトロマニラの大通りEDSAの歩道整備を目的としたもので、後者はメトロマニラ内の交通渋滞緩和を目指すものです。
(画像:Photo by REY MELVIN CARAAN on Unsplash)
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