[フィリピン] ADB、2023年の経済成長率を5.7%と予想

2023/09/25


マニラに本部を置くアジア開発銀行(ADB)は、2023年9月20日、インフレと世界的な逆風を理由に、2023年のフィリピン経済成長率予測を6%から5.7%に引き下げました。



しかし、アジア開発見通し(ADO)の2023年9月更新版で、2024年については、家計消費とインフラや社会サービスへの公共支出などを挙げて、フィリピンの国内総生産(GDP)見通しを4月時点の予測と同じ6.2%に据え置いています。



「2023年に減速が予想されるものの、フィリピンの成長ストーリーは依然として力強い。低い失業率、海外にいるフィリピン人からの持続的な送金増加、観光業を含む好調なサービス業に後押しされた公共投資と個人消費が成長を支えるだろう。」とADBフィリピン国担当ディレクターのパビット・ラマチャンドラン氏は報告書で述べています。



さらに、「政府の大型インフラプロジェクトは、消費をさらに刺激し、雇用を促進し、さらなる投資を促進するはずだ。」とも述べています。



ADBによると、政府は国内生産高の5%程度のインフラ支出を維持する見通しだということです。



観光関連収入の増加、持続的な送金、ビジネス・プロセス・アウトソーシングを中心とした好調なサービス輸出も経常収支を押し上げ、弱い商品輸出を相殺するのに役立つだろう、とADBはコメントしています。



ADBは、成長に対する下振れリスクとして、地政学的緊張や主要先進国経済の予想以上の減速など、世界的な逆風を挙げています。



ADBによると、2023年4〜6月期のGDPは、インフレ率や金利の上昇などにより、前期の6.4%、前年同期の7.5%から3四半期連続で4.3%へと低下しました。



政府は、今年の成長率目標を6〜7%と掲げています。



一方、インフレ率予想は、2023年平均6.2%、2024年平均4%に据え置かれました。



ADBは、エルニーニョ現象など厳しい天候不順の可能性、世界的な商品価格の上昇による圧力、交通運賃の値上げや最低賃金の引き上げによる二次的な影響により、総合インフレ率が落ち着くのが遅れる可能性があると指摘しています。



今年8月末現在、物価上昇率は平均6.6%で、政府の目標値2〜4%を上回っています。



これまで6か月連続で下落してきたインフレ率でしたが、2023年8月の水準は、天候不順による食料品価格の上昇により、前月の4.7%から5.3%に加速しました。

 



(出所:Philippines News Agency

(画像:UnsplashのFrancesco Gallarottiが撮影した写真)