2020/11/05
[フィリピン] AREITがアヤラランドのThe 30thを51億ペソで取得
フィリピン国内初の不動産投資信託(REIT)となったAREIT Inc.が、リースのポートフォリオ多様化のために、スポンサーであるアヤラランドから、パシグシティの商業物件「The 30th」を取得しました。
同社が2020年10月末にフィリピン証券取引所に届け出た内容によると、メラルコアベニュー沿いのショッピングモール「The 30th」を取得することで、AREITの資産ポートフォリオは、総賃貸可能面積にして170,000平米から246,000平米へ増加します。
The 30thは、2017年にアヤラランドが完成させた商業不動産です。アヤラランドはAREITの54%を所有しています。オフィスビル部分は満室状態で、主にビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)企業が入居しています。
今回の取引は、フィリピンがCovid-19の感染拡大予防のために行ったロックダウンの一部を解除し始めた時期に締結されたものです。
The 30thのポディウム(低層部)にはリテールが入り、アヤラランドがAREITからリースする形で運営されます。取引は、関連会社間取引を精査する委員会のお墨付きを経て、AREITの取締役会で承認されました。
51億ペソ(約110億円)という対価を払うことで、AREITは、76,000平米の賃貸可能スペース、建物の所有権、およびThe 30thが建っている土地の借地権の支配権を取ることになります。
建物の取得と同時に、アヤラランドは土地の長期リースをAREITに譲渡し、AREITはオフィススペースをテナントに、ポディウム部リテールをアヤラランドに、リテールスペースの運営者として固定リースで賃貸します。
公表された内容によると、今回の取得費用は負債で賄われるようです。現在、AREITには借入金がありません。よって、借入金で賄われたとしても、利回りを伸ばすような資産が取得できることになります。
公表では、「これによりポートフォリオを成長させ、株主に付加価値をつけるAREITの能力を証明することができます。一方で、スポンサーであるアヤラランドは、フィリピンの不動産プロジェクトのために資本をリサイクルすることができます。」と述べられています。
AREITはまた、総額184億ペソ(約397億円)の借入金のための取締役会の決議も行いました。このうち、64億ペソ(約138億円)は10年満期の個人投資家向け債券、優先株、相対ローンで調達されることになっています。のこりの120億ペソ(約259億円)は、銀行からの融資枠で対応します。
不動産投資信託(REIT)は、収益を生む不動産(オフィススペース、ショッピングモール、サービスアパート、ホテル、病院、倉庫)に投資をする法人です。デベロッパーというよりは、完成した不動産そのものに投資する機会を投資家に与えてくれるものです。これにより、分配金を狙う投資家を呼び込むのが狙いです。というのも、REITは少なくとも利益90%を毎年分配金として払い出すことが義務付けられているからです。
(出所:Business Inquirer)
(トップ画像:Photo by Lawrence Aritao on Unsplash)
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