[フィリピン] AREIT、約113億ペソのセブ資産取り込み

2022/03/15


フィリピン不動産投資信託(REIT)のパイオニアとなったAREIT社(AREIT Inc.)は、スポンサーであるアヤラランド(Ayala Land Inc.)から、セブにある総額112.6億ペソ(約254億円)のオフィスビル6棟を取得する計画です。これで、上場から2年以内にポートフォリオを2倍にするという目標を超えることになります。



AREITは、アヤラランドと2回目の不動産と株式の交換を発表、これにより管理下にある資産は640億ペソ(約1,441億円)に上ります。REITが上場した2020年8月から、ポートフォリオの価値は213%増となっています。



資産と交換する形で、AREITはアヤラランドに新株2億5,214株を発行します。新株発行後も、アヤラランドのAREITにおける持株比率は60~67%の幅に保たれるということで、REIT規則で求められている最低浮遊株割合33%を満たしています。



「私たちは、資産の成長、地理的な範囲とテナントベースの多様化、増配と値上がりにより株主により大きな価値を創造するというコミットメントを達成することに専念しています。今回の資産取得は、昨年に行った資産取得に加えて、AREITの一株当たりの配当を増やす方向に働くでしょう。」と、AREITの社長兼CEOのキャロル・ミルズ氏は話しています。



BPO向けのビル

取得する6棟は、セブITパークに位置するイーブロック・タワーズ(eBlock Towers)1〜4に加えて、アヤラセンター・セブに位置するACCタワーとテック・タワーです。総賃貸可能面積は124,299平米、全体の稼働率は97%で、大手のビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)企業により賃貸されています。



資産の取得には、4月21日に開催される株主総会でAREIT株主の承認を受けることが必要になります。また、関係監督機関の認可も必要です。




アヤラランドとAREITは、この株式交換を今年内に完了することを目標としています。



AREITは、新規株式公開以来、配当利回りと株価値上がりで、株主総利回り*合計92%を達成しています。


*株主総利回り(トータルシェアホルダーリターン)=株式投資により得られた収益(配当とキャピタルゲイン)を投資額(株価)で割った比率




増加する賃貸面積

賃貸面積の点では、2020年にAREITがデビューした際のポートフォリオは、153,000平米、総額300億ペソ(約676億円)でした。2021年末には、これが549,000平米、530億ペソ(約1,194億円)にまで拡大しました。今回の取得で、面積は673,000平米、640億ペソ(約1,441億円)まで拡大します。



2022年2月24日、AREITの取締役会で、2021年第4四半期について一株当たり0.47ペソの配当が宣言されました。3月11日を基準日として、株主に3月25日に支払われることになっています。




2021年10月に、最初の資産と株式の交換150億ペソ(約338億円)を行い、AREITの一株当たりの配当は、第3四半期の0.44ペソ*から、第4四半期は0.47ペソに増加しました。




*1ペソ=2.25円(2022年3月14日時点)




AREITの2021年利益の利益による通年の配当額は、一株当たり1.77ペソとなり、2020年からは34%増、IPOの際のREITプロジェクションから12%高くなりました。




セブの資産を取得することで、AREITは、一株当たりの配当をさらに増額できると見込んでいます。





(出所:Business Inquirer

(画像:Photo by Hitoshi Namura on Unsplash)