[ASEAN] 各国の中央銀行、第2四半期末より利上げか

2022/03/14


シンガポールのUOB銀行は、マレーシアの中央銀行が、今年第2四半期と第3四半期に、翌日物の政策金利を、年末の目標金利2.25%に向けて引き上げてくると予想しています。



UOBのリサーチチームは、世界では、政策金利の引き締めが始まっていますが、ASEAN各国の中央銀行が利上げを始めるのは、2022年の後半期近くなってからだろうと予測しています。




2022年2月24日、UOBのリサーチチームは、マレーシア中央銀行(Bank Negara Malaysia(BNM))とフィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas(BSP))が、2022年第2四半期に、それぞれ25ベーシスポイントの利上げを始めると見ています。



さらに、第3四半期は、タイ銀行(BOT)が25ベーシスポイント、続いてインドネシア銀行(BI)が強気に2022年の後半期に累計で100ベーシスポイント上げてくるとUOBは予測しています。



全体として、これら4か国の需要のけん引型のインフレは徐々に戻ってくるとの考えです。



しかし、インフレは全体として、世界の物価の動きや長引く供給関連の混乱に左右されるとして、パンデミック前の力強いレベルまで回復してくる可能性はあるものの、そのペースは、生活必需品でない消費をはじめとして、ゆるやかなものになると見られています。



UOBは、シンガポールのUOB銀行は、マレーシアの中央銀行が、今年第2四半期と第3四半期に、翌日物の政策金利を、年末の目標金利2.25%に向けて引き上げてくると予想しています。



▼マレーシア政策金利の推移(出所:Trading Economics




UOBは、この予測の根拠として、改善しつつある成長の勢い、国内で高まる需給サイドへのインフレの圧力、そしてより積極的な米国連邦準備制度の金融政策の正常化を挙げています。マレーシアが利上げを行うことで、マレーシアの翌日物の政策金利と米国の連邦準備銀行の金利との間にいくらかの余裕を残すことで、為替を安定化させる狙いです。



一方で、フィリピンのBSPは、高まるインフレ、改善する国内の成長見通し、そして米国準備制度の政策引き締めにより、金融政策を正常化を始めるよう圧力を受けていると言います。



▼フィリピン中央銀行政策金利の推移(出所:Trading Economics





UOBは、以前のBSPが2回の利上げを行うという予測を見直し、2022年内に3回の利上げでそれぞれ25ベーシスポイントずつ上げる予想にしています。これにより、2022年末までに中央銀行のリバースレポ金利(借入金利)は2.75%になる予想です。



「連続して利上げを行う可能性があると予測したのには、BSPが、既存の成長の勢いを止めないためにも、特にダウンサイドリスクが依然として残る中では、政策の正常化を慎重に展開してくると見込んでいるからです。」



BOTについては、UOBは、世界中で利上げが行われる中でも、緩和的なスタンスを取り続けるとみています。なぜなら、BOTは、2021年のインフレ圧力が安定的に平均して1.2%だったことに基づいて、2022年は1~3%と予測しているからです。



UOBは、BOTが、米国連邦公開市場委員会の予想よりも早い利上げに対応して、2022年に25ベーシスポイントの利上げを行い、ベンチマーク金利を0.75%にまで持ってくると予想しています。



▼タイ中央銀行政策金利の推移(出所:Trading Economics





一方で、インドネシア銀行(BI)は、2022年、「最も大きな」利上げを行うと見られています。UOBの予測では、2022年の第3四半期に25ベーシスポイントの利上げを2回、第4四半期に25ベーシスポイントを2回行って、現在の政策金利3.5%から4.5%に、さらに2023年第1四半期に、25ベーシスポイントの利上げを2回行って、最終的には政策金利を5%程度に持ってくると見ています。



▼インドネシア中央銀行政策金利の推移(出所:Trading Economics




(出所:Business Times