2021/11/22
2021年第3四半期、マレーシア不動産の販売希望価格が0.92%上昇しました。ロックダウンの解除と経済活動の再開を受けて、国内不動産市場の再開のはじまりの兆しだと期待されています。
シンガポールやインドネシア、タイなど東南アジアで、不動産の売買・賃貸情報サイトを運営するPropertyGuruの最新の「マレーシア不動産市場インデックス(MPMI)」レポートによると、不動産の販売希望価格の上昇は、MPMIの対象となっている4つの主要な地域すべてで確認されました。
この4つの地域とは、クアラルンプール、スランゴール、ペナン、そしてジョホールです。前年同期比で、1.56%、1.5%、1.38%、0.15%の上昇がそれぞれ見られました。
4つの地域全てで希望価格の上昇が見られたのは、2020年第2四半期にCovid-19パンデミックの影響が出て以来、初めてのことだということです。
PropertyGuruマレーシアの国担当マネジャー、シェルドン・フェルナンデス氏は、ワクチン接種の加速が、経済の再開と相まって、販売希望価格の上昇を促進するきっかけとなったと説明しています。
フェルナンデス氏は、Covid-19との戦いからマレーシアが抜け出そうとしていることで、当然、消費者の信頼感も高まり、緩やかではあるが着実なマレーシア不動産需要の回復につながると期待されていると述べています。
「2020年第2四半期より、マレーシア国内の主要マーケットでは、不動産価格が上下していますが、全体的な前年同期比のトレンドは下がり気味で、ロックダウンや商業活動の制限の開始と一致しています。」
「今回の販売希望価格の上昇は、マレーシア不動産市場の回復をほのめかしているものの、不動産価格が完全にパンデミック前のレベルに戻るにはしばらくかかるでしょう。」
PropertyGuruマレーシアの不動産供給インデックス(Property Supply Index)は、ウェブサイト上の不動産掲載件数から供給の状況を追跡するものです。これによると、2021年第3四半期、供給量は前期比で6.51%減少し、第2四半期の11.94%増とは反対の動きを見せました。
MPMIの対象となっているクアラルンプール、スランゴール、ペナン、およびジョホールの4つの主要市場では、不動産供給量では、それぞれ前期比7.3%、2.63%、13.79%、13.36%の減少が見られました。
レポートは、新築市場の供給量の下降傾向が、2021年第3四半期に行われたロックダウンにより、建設工事が停止し、プロジェクトの引き渡しや新規開発物件の発売が遅れたことに起因していると説明しています。
一方で、中古市場の供給量の一時的な減少は、買い手の購買意欲の低下、過去数か月で見られた住宅価格にかかる下向きの圧力により、売り手にためらいがあったことによるものだろうと分析されています。
フェルナンデス氏は、「2021年第3四半期に見られた、不動産供給量の急激な低下は、不動産セクターがいまだパンデミックの影響によりぐらついていることを気づかせてくれます。しかし、PropertyGuruのウェブサイト上の掲載活動が2021年第4四半期に入ってすでに活気づいてきていることは励みになります。不動産価格が今後数か月で安定する、または上昇傾向になれば、このトレンドは年末までには変わってくるだろうと見込んでいます。」と話しています。
フェルナンデス氏は、経済全体の活動、雇用に対する市場心理の改善、財務の安定性、並びにワクチン接種を終えた人の割合の増加と並行して、不動産市場にゆっくりながらも着実な改善が今後数か月で見えてくるだろうと言います。
しかし、短期的には、市場心理は引き続き、Covid-19の状況に大きく左右されるでしょう。
「パンデミックが完全に制御できる状態になるまでは、市場の見通しだけでなく、SOPを遵守した日々の暮らしにも、引き続き注意していかなくてはなりません。まだ、完全に状況を脱したわけではないのです。」
(出所:New Straits Times)
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