[タイ] バンコク地価、今年は横ばいか下落の見通し

2019/09/30

[タイ] バンコク地価、今年は横ばいか下落の見通し


バンコクの地価は今年、過去10年以上で初めて、横ばいまたは下落する見通しです。不動産アナリストによると、この理由は、景気低迷と、来年初に実施される土地・建物税(Land and Buildings Tax)です。

不動産コンサルタント、CBREタイランドのマネージングダイレクターであるアリワッサー・パッタナダブット氏は、大規模な土地を持つ地主が区画を売りに出すケースが増えていると言います。

「今までは土地を売ろうとは考えていなかった地主の中も、現在の景気低迷の影響を受ける者がありそうです。交渉の余地がある、またはフレキシブルな価格で売りに出すケースが目立っています。」

タイ証券取引所上場デベロッパー、オリジン・プロパティ(Origin Property Plc)のチーフエグゼクティブ、ピーラポン・ジャルーンエック氏は、土地の売買案件を再開させるために戻ってきた地主もいると言います。

「たくさんの区画のオファーがありました。以前は平方ワー*あたり、700,000バーツ(約246万円)の値段がついていたスラウォン通りの区画が、今では500,000バーツ(約176万円)となっています。」とピーラポン氏は話します。

*平方ワー=タイの土地面積表記のひとつ。4平方メートル。

アリワッサー氏は、土地・建物税の施行を目前にして、新規コストを最小限に抑えるべく、リースホールドのオプションを提案する地主もいると言います。

土地・建物税によると、空地にかかる税率は、0.3%~0.7%で、毎年0.3%ずつ上がります。プルンチット通りにある1ライ*の空き地では、税額は年間200万バーツ(約700万円)に上ります。

多くの土地が交渉の余地のある価格で売りに出されていることから、バンコクの地価は今年、去年と比べて5~10%ほど下落するか、または横ばいになるとみられています。これは、2008年の金融危機を受けた2009年以降、はじめてのこととなります。

CBREによると、タイ全体の地価の上昇率は年間2~3%、バンコク単独では5~6%でした。過去数年間にいたっては、バンコクの地価は年間10%以上も上昇しました。

新しい土地の評価額は、2020年1月1日から4年間施行されます。

財務局によると、現在の評価額から、バンコクは平均2.45%、タイ全体では平均8.34%上昇するとのことです。

「昨年は、地主が好き勝手に値段をつけられていましたが、今年はよりフレキシブルになっています。今年は、過去数年間の売り手市場から、買い手市場への転換期となるでしょう。」とアリワッサー氏は述べています。

アリワッサー氏はまた、レジデンシャル部門は確実に景気低迷の影響を受けるとしています。というのも、過去4年間の市場の成長は、外国人からの需要にけん引されてきたからです。

昨年、外国人バイヤーによる不動産購入は、920億バーツ(約3,238億円)に上り、うち43%が中国人バイヤーでした。中国市場が低迷した時、コンド市場もスランプに陥りました。

(出所:Bangkok Post