[バンコク] 2018年第2四半期レジデンシャル市場レビュー

2018/09/10

[バンコク] 2018年第2四半期レジデンシャル市場レビュー


JLL社は、2018年第2四半期のレジデンシャル市場について以下のようなレビューをしています。

■賃貸成長率(前年同期比) 2.6%
■NLA*における1㎡/月  537タイバーツ(約1,810円)
■循環ステージ 成長鈍化2.6%

*NLA=純賃貸可能面積(Net Lettable Area) 。総賃貸可能面積とは、対象不動産の賃貸可能な面積合計をいいます。



プレセールのタイムラグもあり、完成済みプロジェクトは販売好調


・2018年第2四半期、新しいプロジェクトが5件発売、全部でプレセール率29%を達成しました。ラグジュアリープロジェクト2件は、合わせて39%のプレセール率を達成、ウルトラ・ラグジュアリープロジェクト3件は、平均22%のプレセール率を達成しました。これらの数値は過去の四半期における同等のプロジェクトの販売よりやや低めです。第一には季節的な要因があげられます。第2四半期は祝日が多いのと、消極的になりがちな消費者マインドもあって、販売は低迷しがちです。
・CBA(Central Business Areas、ビジネス中心地)完成済みプロジェクトの新規販売ユニットの売り上げは、2018年第2四半期で約1,100ユニットほど改善し、前四半期の新規完成物件よりも高い数値を出しました。最近完成したプロジェクトのプレセール率も比較的高止まりし、売れ残り率は前期比で2.4%に減少しました。これは、プレセールされたユニットのほとんどが無事にオーナーに引き渡しされたことによるものです。



コンドミニアムプロジェクト7件が完成


・コンドミニアムプロジェクト6件(ウルトラ・ラグジュアリー2件、ラグジュアリー2件、高級2件、2018年第2四半期で1,067ユニット完成予定)
・ラグジュアリーアパートメントプロジェクトが1件2018年第2四半期に完成。ピヤ・レジデンス28&30は、セントラルイーストに位置し、82ユニットを提供します。同時に、取り壊し、あるいは使用用途変更などで、建物5棟が市場から消えました。アパートメントの空室率は、前期比で180べーしすポイント下げ、5.5%となりました。これは、ピヤ・レジデンス28&30が完成し、満室となったことによるものです。



開発用地の取得、急速に進む


・2018年第2四半期、コンドミニアムの純有効賃料(net effective rent)は前期比で0.3%、前年同期比では2.6%増加、ラグジュアリーアパートメントの純有効賃料は変わらずでした。資本価値はわずかばかりの上昇を見せ、一方で市場利回りは、4.7%と変わらずでした。賃貸料成長率もまた、市場に投入されるコンドミニアムユニット数の増加により競争が激化しているため、あまり大きな変化は見られないようです。
・サンシリPCLが3億3,300万バーツ(約11億2,500万円)でバンコク・スカイ・スクンビット34社(BKS34)を取得しました。BKS34は非関連の持ち株会社で、スクンビット・ソイ34の1,980㎡の土地に投資するために設立されました。サンシリはこの土地を開発し、ラグジュアリーコンドミニアムを建設予定です。



見通し:プレセールが引き続き好調


・今後12か月で、プライムセグメントのコンドミニアム24プロジェクト、7,248ユニットが完成予定です。全体のプレセール率は、これらのプロジェクトの85.5%を占めているという事実は、CBAの住まいに対する強い需要があることを意味しています。完成予定のユニットの大部分は、セントラルイースト・サブマーケットに位置しています。
・今後数四半期に販売開始予定のプライムグレードのコンドミニアムに対する需要は、健全に推移するとみられています。というのも、新規発売のプロジェクトは、その好立地とプロダクト(デベロッパーの発表によると)と海外でのマーケティング努力により恩恵を受けるでしょう。外国人バイヤーの需要も、引き続きCBAのプライムグレードのコンドミニアム需要の重要な源となるとみられています。

一方で、The Nation紙は、外国人バイヤーに依存しすぎるデベロッパーに警鐘を鳴らしています。

・価格が過去最高レベルに達していることから、デベロッパーたちは、売れ残り在庫を一掃すべく外国人バイヤーに望みを託しています。過去3年、外国人バイヤー、特に中国人およびその他アジア人のバイヤーが、タイのコンドミニアム市場の在庫を減らす一助となってきました。このトレンドは今後も続くとみられています。というのも、タイは、外国人バイヤーまたはセカンドホームバイヤーに印紙税を課さない数少ない国の一つだからです。観光地として人気なだけでなく、比較的入手しやすい金額、外国人がコンドミニアムを所有できる、市内中心部までの近さ、便利な公共交通機関やアメニティの良さなどもその要素に加わっています。

・ユニットの大部分を外国人に販売する本当の問題は、ほとんどの外国人バイヤーは、エンドユーザーとしてか投資目的かにかかわらず、起こりうる政治的、経済的なネガティブマインドに対してかなり敏感であるということです。ネガティブなニュースが出て外国人投資家の撤退や損切りを引き起こすようなことがあると、デベロッパーにとってはリスク増となります。リスクを最小限に抑えるためには、プロジェクト当たりの外国人比率を低めに保ち、ユニットにかかる頭金を引き上げるのが慎重策といえるでしょう。

(出所:JLLThe Nation