2022/11/10
マレーシア中央銀行は、2022年11月3日、インフレを抑えるべく、4会合連続で、ベンチマーク金利を引き上げる決定をしました。
▼マレーシアの政策金利推移(出所:Trading Economics)
マレーシア中央銀行(Bank Negara Malaysia(BNM))は、翌日物の政策金利(OPR)を25ベーシスポイント上げて、2.75%としました。ロイターが27名のエコノミストに事前に行った調査では、2名を除いた残り全員が予想していた結果となりました。
今回の利上げを含めて、BNMは、過去最低レベルの1.75%だった金利を、5月以降合計で100ベーシスポイント上げました。
中央銀行は、今回の金利調整を「物価圧力に需要過多のリスクを先取りして管理するため」だとしています。
「2023年のインフレ見込みへの残りのリスクは、上向きサイドに傾いており、補助金などについての国内の政策措置はもちろん、世界的な物価の動きにかかっている」と述べています。
BNMは、金融政策決定会合は、今後も状況と成長およびインフレの見込みに合わせて、金利の調整を行っていくとしています。
BNMの利上げのペースは、諸外国と比べると緩やかなものでした。手厚い補助金と価格統制措置により、インフレが比較的抑制できていたためです。
しかし、インフレは加速し、9月には消費者物価指数が前年同月比4.5%となりました。8月の4.7%からはやや落ち着いたものの、政府は今年の平均インフレとして3.3%程度を見込んでいます。
マレーシア経済は、パンデミックに端を発したスランプから、4月の渡航解禁ともに力強く回復し、第2四半期には成長率8.9%と過去1年で最も急速な伸びを記録しました。
BNMは、最近の数値から、第3四半期の経済活動もさらに力強いものになったことを示しているとする一方で、世界経済の軟化を受けて、外需はやや落ち込むことが予想されています。
2022年10月、マレーシア政府は2022年の成長見込みを上方修正し、前回の予想5.3~6.3%から6.5~7%の幅に引き上げました。しかし、来年については、4~5%程度に減速すると予想しています。
中央銀行の利上げの発表を前に、マレーシアリンギットは24年ぶりの最安値を付けました。
リンギットは、アメリカの金融引き締め、世界経済の鈍化、今月予定されている総選挙から生じる政治リスクの高まりなどにより、さらなる圧力を受けると見られています。
▼MYR/USD為替レートの推移(出所:xe)
(出所:Channel News Asia)
(画像:UnsplashのJosh Appelが撮影した写真)
もっと詳しく知りたい方はこちら