2021/10/25
タイの中央銀行は、住宅ローンに関するルールをさらに緩和し、パンデミックの影響に苦しむ不動産セクターを支援しようとしています。これにより、不動産の株価も上がっているようです。
LTV(ローン・トゥ・バリュー/不動産価格に対する借入金の割合)の上限が、今までの70~90%から緩和され、2022年末までは100%となります。これにより、回復に何年もかかると言われている不動産業界の経済活動の増加が期待されています。今回のルールの緩和は、2021年10月20日から有効となっています。
「不確定性は依然として高く、業界によってはいまだ脆い状態が続いています。よって、景気を刺激し、雇用を増加させるべく、施策を導入しました。」と、タイ銀行(Bank of Thailand(BoT))の総裁補佐、ルーン・マリカマス氏は、記者会見で述べています。
この施策は、すべての住宅ローン契約に適用されるということで、これにはリファイナンス(借り換え)も含まれます。ルーン総裁補佐によると、今のところ業界内で投機の兆しはほとんど見られないということです。
不動産デベロッパーの株価(.SETPR)は、お昼の休憩時間に1.2%上昇しました。オリジン・プロパティ(ORI.BK)は6.5%、ノーブル・デベロップメント(NOBLE.BK)は3.0%上がりました。
不動産業界は、タイの国民総生産(GDP)の約10%を占めており、業界で働く人々は280万人に上るとBOTのダイレクター、ドン・ナコーンタブ氏は述べています。
BOTは、今年のGDP成長率を0.7%、2022年を3.9%と予測しています。昨年は、6.1%のスランプでした。
東南アジア第2の経済圏であるタイがパンデミック前のレベルに戻るのは2023年初旬と見込まれているが、不動産業界が正常化するにはさらに時間がかかるだろうとドン氏は言います。
「景気はすでに底入れしています。しかし、追加の施策がないと、不動産業界の活動は、2025年までパンデミック前の状態には戻れない予想です。」
「この施策で、不動産業界の回復が早まればと考えています。」
今回のルール緩和と、追加の施策で、住宅ローンの融資を年間約500億バーツ(約1,710億円)増加させることが期待されています。
ドン氏によると、財務省もまた、いくつかの不動産関連施策の延長を検討しているようです。
(出所:Reuters)
(画像:Photo by Dan Freeman on Unsplash )
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