2021/07/08
[マレーシア] 中央銀行、ベンチマーク金利を据え置き
マレーシア中央銀行は、2021年7月8日、Covid-19感染拡大を抑えるために実施されているロックダウンが延長される中、ベンチマーク金利を据え置くことを決定しました。
マレーシア中央銀行(Bank Negara Malaysia (BNM))は、ロイターが調査したエコノミスト13人中12人が予想した通り、翌日物の政策金利を1.75%に据え置きました。
中央銀行は、今年第1四半期、予想よりも良かった経済活動が4月も続いた一方で、Covid-19封じ込めのための措置の再実施が成長の勢いを冷え込ませるだろうと述べています。
制限措置の引き締めや、措置の遅れにつながるような要素、または世界経済の回復遅れなどを理由に、見通しは「大きなダウンサイドリスク」に傾いたままだ、とBNMは述べています。
マレーシアは、コロナウイルス感染者数の再増加と戦っており、パンデミックの始まり以来、感染者数は80万人を超えました。インドネシア、フィリピンに続いて3番目となっています。
政府は、2021年6月、国内全土でロックダウンを実施しました。今では、州の中には部分的に制限措置が緩和されているところもあります。首都クアラルンプールと周辺エリアは、その中でも感染が多い地域で、厳しい制限措置が敷かれています。
先週、ムヒディン・ヤシン首相は、ロックダウンの経済的影響を和らげるべく1,500億リンギットの景気刺激策を発表しました。
BNMは、必要不可欠な業種の営業継続を認めることで、部分的に制限措置の影響を緩和することはできる一方で、政策によるサポートが家庭や企業の経済的な負担を軽減することになるだろうと述べています。
さらには、外需が有利な状況にあることと、国のワクチン接種が進んでいることもまた、来年にかけての成長の回復を支えるあろうともコメントしています。
政府の統計によると、マレーシアの約9%が完全にワクチン接種を終えています。
キャピタル・エコノミクスのアジア担当エコノミスト、アレックス・ホームズ氏は、ワクチン接種率が上がってきているものの、Covid-19の制限措置が、今後数か月の経済の大きな向かい風となるだろうと述べています。
「経済の見通しがあまりよくないことを考えると、少なくとも2022年末までは、金利は現在のような低いレベルに据え置かれるだろうと考えます。」
中央銀行は、パンデミック対応として、2020年に合計で125ベーシスポイント金利を引き下げました。それでも、昨年の経済成長率は-5.6%で、通年でアジア通貨危機以来最悪となりました。
2021年第1四半期、国民総生産の収縮幅は前年同期比で-0.5%となり、輸出と国内支出が伸び、予想よりも少なく終わりました。
マレーシア政府は、経済が今年6%~7.5%の回復を見せるだろうと予想しています。しかし、各メディアが報じているところによると、財務省は再度ロックダウンが実施されたことを受けて、この成長目標は下方修正される可能性もあると述べています。
(出所:Reuters)
(画像:Image by THAM YUAN YUAN from Pixabay )
もっと詳しく知りたい方はこちら