2022/05/18
マレーシアは、2022年5月11日、予期せずベンチマーク金利を引き上げました。パンデミックからやっと回復しようとしている経済の需要を損なうリスクのある物価への圧力を回避すべく先手を打った格好です。
マレーシア中央銀行(BNM)は、翌日物の政策金利を25ベーシスポイント上げて2%としました。ブルームバーグが調査した19人のエコノミストのうち、たった5人が利上げを予想していたのみで、残りは変更なしと予想していました。
ウクライナ紛争により引き起こされた供給ショックに一部掻き立てられたインフレを世界中の中央銀行が制御しようとしており、今回利上げの判断をしたことで、マレーシアは引き締め政策組に直近で加入した形となりました。
東南アジア経済が、コロナ関連の制限の緩和のおかげで今年は力強く回復することが見込まれる中で、BNMは、早めに価格の圧力に対抗するための余地を与えられました。
実勢インフレが2.2%と東南アジアでは最低レベルで、変動しやすい食料と燃料コストを除いたコアインフレは3月、1年前から2%上昇しました。これは、2019年8月のレベルです。食料インフレは前年同期比で4%となり、2017年12月以来最大となっています。
ほとんどのエコノミストが年後半だと予測していた今回の利上げの判断のあと、対ドルのリンギットは0.2%高い4.3760になりました。3年物の国債の利回りは、金利予想に敏感に反応しますが、3.78%と安定的で、利上げ判断を受けた3ベーシスポイントの損失を打ち消しました。
供給駆動型のインフレ圧力に対応する必要性に欠けると最近BNMが宣言していたばかりに、今回の利上げは市場にとってサプライズだった、とシンガポールOCBC銀行のエコノミスト、ウェリアン・ウィラント氏は話しています。結局のところ、世界のインフレ圧力を確認したということだ、とも述べています。
「特にアメリカにおける、物価の上昇、サプライチェーンの緊迫、力強い需要状況により、インフレの圧力は急激に上昇した」とBNMはその声明の中で述べています。
(出所:Free Malaysia Today)
(画像:Photo by Markus Spiske on Unsplash)
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