[フィリピン] インフラブームがセブ不動産の回復を後押し

2021/07/12

[フィリピン] インフラブームがセブ不動産の回復を後押し


メトロセブで大規模インフラプロジェクトが進んでいることで、不動産業界がコロナ禍の影響から徐々に回復することが期待される中、今後のレジデンシャルコンドミニアムの需要を押し上げそうです。


総合不動産サービス会社コリアーズ・インターナショナル・フィリピンのアソシエイト・ダイレクター、ジョーイ・ボンドック氏は、セブ・コルドバ高速道路、本土とマクタン島を結ぶ3番目の橋、メトロセブ高速道路などの極めて重要なインフラプロジェクトが、セブのレジデンシャルコンドミニアムの需要を押し上げると述べています。


▼セブとマクタン島を結ぶ3番目の橋(出所:PNA


「こういった公共インフラプロジェクトにより、より多くのデベロッパーや投資家が、こうしたプロジェクトの周辺に土地を取得しようと動くでしょう。」とボンドック氏は、フィリピンの国営通信社に対して話しています。


コリアーズは、今年のレジデンシャルユニットの竣工が増えてくるのではないかと考えています。


プレセール市場についても、2021年以降の繰延需要に向けてデベロッパー各社が準備を進めるため、回復がみられるのではないかと予想しています。

 

ボンドック氏は、インテグレーテッド・コミュニティと呼ばれる総合型タウン開発の中のレジデンシャルユニットの需要が、コロナにもかかわらず続くと見て、デベロッパー各社に対して、タウンシップ開発の実現可能性を探るよう提言しています。セブは政府の大規模インフラ開発の主な受益者であるとして、新しいインフラを最大限に生かすために、郊外エリアに土地付き住宅プロジェクトの開発をすべきだとも述べています。


メトロセブはメトロマニラを除けば、最大のレジデンシャルハブとなっています。


コロナにより域内の経済や不動産市場に混乱が生じており、コリアーズは域内の不動産プロジェクトの成約や竣工は抑えめになっていると言います。

 


需要と供給


2021年第1四半期、セブでは813戸のコンドミニアムユニットがプレセールで販売されました。2020年第4四半期の1,122戸から28%減となりました。


コリアーズは、今後3年間で成約率も上がってくると予想しており、海外で働くフィリピン人労働者(OFW)の送金や、コロナワクチン接種の展開が支えになるだろうと述べています。

 

供給については、コリアーズは、2021年から2025年までで年間約4,760戸のコンドミニアムユニットの引き渡しがされるだろうと予想しています。当初の予想は4,500戸でした。

 

この期間の新規供給の81%を、セブ市とマンダウエ市が占めるだろうと予測されています。

 

2025年末までには、メトロセブのコンドミニアム在庫は73,900戸に到達すると見ています。2020年末の在庫から48%増です。

 


価格

 

コリアーズは、2021年の第2四半期あたりから投資家・エンドユーザーともに徐々に需要が回復しているのを受けて、今年のコンドミニアム価格は4%上昇すると見込んでいます。マクタンおよびセブ市の成約がさらに増えると予測する2022年には、価格はさらに早いペースで上昇するだろうということです。

 


中所得者層が新規プロジェクトと成約を加速

 

2021年第1四半期の時点で、中所得層向けのコンドミニアムプロジェクトは、メトロセブの新規発売と成約双方で38%を占めました。この価格帯の需要が伸びているのには、セブのエンドユーザー、投資家の購買力が上がっていることと関係があります。


コリアーズは、2021年に完成が予定されている6,563戸の37%を、中価格帯が占めると予想しており、中価格帯が今後もセブのレジデンシャル需要をとらえていくだろうと予想しています。

 

コリアーズは、デベロッパーに対して、海外で働くフィリピン人など、この中所得層向けセグメントの需要のけん引要素を常にウォッチしていくのがよいだろうと提言しています。政府の2021年以降の景気予測もまた、中所得層の需要をさらに搔き立てるでしょう。

 


インテグレーテッド・コミュニティ

 

コリアーズは、フィリピンがコロナがもたらした課題に対応する一方で、メトロセブの投資家もエンドユーザーも、インテグレーテッド・コミュニティ内の物件への投資に関心を寄せるだろうと考えています。

 

同社は、今後4年で、一戸建てもコンドミニアムも、レジデンシャルプロジェクトの需要は、住人が必要不可欠なモノやサービスにすぐにアクセスできるか、公共交通機関に近いか、などの総合的な特徴に左右されると予想しており、デベロッパー各社は、バイヤーや投資家を呼び込むために、自社のレジデンシャルプロジェクトのこういった特徴を特に強調していくべきだと提言しています。


 

郊外エリア

 

セブ市が依然として新規のレジデンシャルプロジェクトのメインとなるものの、コリアーズは、土地付きの家(House and Lot)開発は市外にも広がっていることを確認しています。

 

2021年第1四半期、セブのレジデンシャル市場の成約の61%を郊外エリアが占めました。タリサイ、ラプラプ、カルカルといった都市です。


 

コリアーズは、デベロッパー各社に対して、将来の住宅地プロジェクトに使えそうな土地を、これらのエリアもしくはセブのその他のエリアに探していくようすすめています。

 

メトロマニラと同じく、セブのレジデンシャル市場に希望の光が差す、いくつかの要因があります。

 

コリアーズは、競争力のある住宅ローン金利(2021年第1四半期時点で7.4%)、デベロッパーが提示するフレキシブルな支払条件、85億USドルの持続的なOFW送金額が2021年以降の成約率を上げていくのに役立ちそうです。

 

フィリピン統計局のデータによると、2019年のOFWの送金額のうち5%は中部ビサヤ地方でした。

 

こちらもメトロマニラと同じく、コリアーズは、OFWからの送金が、アフォーダブルから中所得層向けのコンドミニアムユニットの需要を高めていくだろうと考えています。

 


価格上昇のペースもより早く

 

2021年第1四半期、アフォーダブル~中所得層向けの開発(170万ペソ~600万ペソ(約374万円~1,319万円))が、メトロセブのコンドミニアムおよび土地付き住宅プロジェクト両方で、力強い成約を記録しました。

 

土地のみのプロジェクトでは、ラグジュアリープロジェクトがその成約の大半を占めました。これらの土地プロジェクトは、240万ペソ(約528万円)以上の価格がついたものです。

 

セブ市以外のエリアにおけるこの価格帯の需要をけん引するのは、州都からあまり離れすぎずに、家族向けの大きめのスペースを探す地元の投資家やOFWとなりそうです。

 

コリアーズは、2021年のコンドミニアムユニット価格は、投資家、エンドユーザーともに需要が徐々に回復するに伴って、4%ほど上昇すると見込んでいます。

 

「2022年から2025年で、セブ市がコロナからさらなる回復を遂げ、年間5%の価格上昇を予測しています。安定的なOFWの送金額もまた、土地付き住宅および土地のみのプロジェクトの価格成長を促すでしょう。」

 


(出所:Philippines News Agency

(画像:Photo by Angelyn Sanjorjo on Unsplash )