[フィリピン] BPOが今後フィリピン経済の主力に

2023/03/06


5年以内に、フィリピンのビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)産業は、海外フィリピン人労働者(OFW)の送金を抜いて、フィリピン経済の柱になると予想されています。



「労働者がクラーク、イロイロ、ダバオなどの地域に移り住むと、その影響はより大きくなります。なぜなら、より低い操業コストとより良い生活の質が得られるからです」と、不動産コンサルタント会社KMC Savillsのリサーチ&コンサルティング担当シニアマネージャーであるフレッド・ララ氏は述べています。



ララ氏は、2028年までにBPO業界は200万人の従業員を抱える国内最大の雇用主になるだろうと予測しています。



フィリピン経済がインフレに見舞われているにもかかわらず、ララ氏は、BPO産業は、米国企業によってけん引されていると言います。というのも、多くの米国企業は、より安い運営コストを実現し、米国内の労働力不足に対処するために、多くのサービス指向の仕事をフィリピンに移すという戦略を取っているからです。



「会計、金融、健康、情報技術、ソフトウェア開発などの重要な分野で、約30万人の雇用を確保する必要があります。これらの職種は、高度なスキルを持つフィリピン人がアクセスできるによるハイエンドな仕事、つまりナレッジ・プロセス・アウトソーシング(KPO)です。」と話すのは、KMC Savills Inc. マネージング・ディレクターのマイケル・マックカロウ氏です。



さらに、ララ氏は、デジタル化が世界経済に浸透していることから、フィリピン人はデータサイエンスの分野でもチャンスも指摘しています。「アメリカの薬局給付管理会社でヘルスケアプロバイダーのOptum社は、国内での業務のためにフィリピン人のデータサイエンティストを雇う予定だと思います。」と、ララ氏は述べています。



マックカロウ氏は、このようなアウトソーシングという形でもたらされる機会を最大限に活用するために、大規模なデータサイエンティストのプールを整えるため、国は科学、技術、工学、数学(STEM)カリキュラムを強化しなければならないと指摘しています。



フィリピンIT&ビジネスプロセス協会(IT-BPAP)によると、BPO産業は2021年最大の雇用創出産業として、144万人の直接雇用と361万人の間接雇用をもたらしました。経済の触媒として、国内総生産に7.5%に相当する295億ドルの収益を上げて、国内経済に大きく貢献しました。



2019年ソロンズ・サービス・グローバル化インデックス(Tholons Services Globalization Index)で、フィリピンはデジタル国家トップ50(Top 50 Digital Nations)で5位、マニラはスーパーシティトップ100(Top 100 Super Cities)で2位となりました。ビサヤ地方の女王と言われるセブ市は、スーパーシティトップ100で12位となりました。



マニラ首都圏のオフィス市場の正味成約面積は、2022年に270,900平方メートルを記録し、前年のマイナスから一転して回復しました。ララ氏は、「KMC Savillsは、2023年の正味成約面積はわずかに増加すると予測していますが、上位のサブマーケットに限られる可能性があります。」と述べています。




(出所:Business Mirror

(画像:UnsplashのREY MELVIN CARAANが撮影した写真)