2022/06/27
フィリピン中央銀行(BSP)の金融政策理事会(Monetary Board(MB))は、高まるインフレ率の脅威を受けて、政府の主要金利をさらに25ポイント引き下げることを決定しました。BSPのベンジャミン・ディオクノ総裁は、利上げは、パンデミック関連のBSPの措置を徐々に解除する方法でもある、と述べています。
同日に行われたバーチャル会見で、BSPのベンジャミン・ディオクノ総裁は、非石油商品価格の上昇、国内の魚の供給不足、運賃値上げの請願などにより、今後もしばらく、国内のインフレ率は高止まりすることが予想される、と述べています。
一方で、世界の景気回復のペースが予想より低迷していることや、新型コロナウイルスの感染者数が増加すれば行動制限が再び課される可能性があることで、やや頭打ちになることが見込まれています。
「これらの考慮して、金融政策理事会(MB)は、政策金利を上げきることで、世界的な価格上昇や国内の経済成長への対外的な向かい風の中でマクロ経済の安定を守りつつ、BSPが実施した景気刺激策を撤回することが可能になると考えています。」
今年の利上げは、前回5月にBSPが行った同様の利上げに続く2回目です。前回は、国内経済の回復の影響に頼りつつもインフレ率の上昇に対応すべく行われました。
2022年6月24日より、BSPの翌日物のリバースレポ金利は2.5%に、翌日物の預金金利は2%に、翌日物の貸付金利は3%になります。
ディオクノ総裁が議長を務めるMBでは、「インフレに与える長引く供給サイドの要因の影響を軽減すべく、政府全体で行っている非金融的介入の一部として、他の政府機関の、綿密に連携を取り合った取り組みをサポートしていることを強調」しました。
「現行の金融政策の正常化を進めるうえで、BSPは、中期的に目標に沿った方向へインフレを持っていき、価格の安定性という主な任務を果たすために、すべての必要な政策的措置を取っていく準備ができている。」とも話しています。
同じ会見で、BSPのフランシスコ・ダキラJr.副総裁は、直近の今年の平均インフレ率予測が、5月の4.6%から見直されて5%に引き上げられたと話しています。
2023年については、3.9%から上方修正で4.2%、2024年は政府の目標レンジ2~4%の範囲内である3.3%となっています。
ダキラ副総裁は、これらの見直しが行われた背景として、2022年5月の実績が、政府の目標レンジを超えた4月の4.9%からさらに上がって5.4%に達したこと、6月のインフレ率はさらなる加速が予測されていること、燃料価格の上昇が続きジープニーの運賃を暫定的な引き上げが承認されたことなどを挙げています。
ダキラ副総裁は、世界的な物価上昇、そして国内の物・サービスへの波及的な効果により、今年の後半期は平均5.6%で推移すると予測しています。2022年、2023年のインフレ見通しは上がり気味で、2024年にはバランスを取り戻すとの見方です。
BSPはまた、原油価格については、2022年は1バレル平均106.3ドル(前回予想100.04ドル)、2023年は1バレル平均95.30ドル(前回予想89.59ドル)、2024年は1バレル平均84.10ドルを予想しています。
「ドバイの原油価格が、平均して2023年に1バレル90ドルくらいまで下がれば、インフレ率が2023年の目標値内に入ってくる基準値となるでしょう。」
ダキラ副総裁はMBの今後の政策金利に関する判断は、今後もインフレの状況や国内経済の成長率などのデータを見ながら行っていくと述べています。
「BSPはすでに、パンデミック関連の介入措置を徐々に引き上げる意向を示しています。緩和的金融政策からの脱却と一致した国内経済活動の力強いリバウンドおよび労働市場の環境が背景です。」と話しています。
(画像:Photo by Markus Spiske on Unsplash)
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