[フィリピン] 中央銀行ディオクノ総裁:景気の後退は一時的

フィリピン中央銀行(BSP)のベンジャミン・ディオクノ総裁は、新型コロナウィルス(Covid-19)によるフィリピン経済の低迷は一時的であるとの見方をしています。

[フィリピン] 中央銀行ディオクノ総裁:景気の後退は一時的


フィリピン中央銀行(BSP)のベンジャミン・ディオクノ総裁は、新型コロナウィルス(Covid-19)によるフィリピン経済の低迷は一時的であるとの見方をしています。
 

ディオクノ総裁は、2020年8月10日にジャーナリスト向けに送ったメッセージの中で、第2四半期の経済成長率-16.5%は、第1四半期の-0.7%よりもマイナス幅が大きく広がったものの、「フィリピン経済が構造的に脆弱であるという意味ではない」と述べています。


「景気後退は一時的です。経済は堅固で、力強いファンダメンタルズに特徴づけられています。たとえば、低い金利、ペソ高でペソはアジアでも最も値上がりが進んでいる通貨となっていますし、対外収支は健全で外貨準備は940億USドルに上ります。また、多くの新興国が羨む、低い対GDP政府債務比率。そして、銀行業界の自己資本比率も十分で、不良債権率も低い状態です。」とコメントしています。
 

ディオクノ総裁は、2020年第2四半期のマイナス成長を、1984年~1985年のエドゥサ革命前の経済危機、1997~1998年のアジア通貨危機、2007年~2008年の世界金融危機の第2四半期と比較することは「適切ではない」と述べました。
 

総裁は、過去の経済危機では、ペソ安が続き、金利は上昇、対GDPの政府債務の割合は増加、外貨準備は下がり、銀行業界も弱体化していたと言います。当時のフィリピンは「重債務国(heavily indebted countries (HICs))」に区分されていたことにも触れ、要するに、当時の経済はすでに弱い状態だったと説明しています。
 

しかし、今回のパンデミックで、景気が後退した原因の一部には「強化されたコミュニティ隔離措置(ECQ)」にあるとも述べています。人々の命を救うため、そして医療施設・検査施設の能力改善のため、「強化されたコミュニティ隔離措置(ECQ)」は、3月中旬から4月末までルソン島全土で実施され、マニラ首都圏(NCR)については5月末まで延長されました。
 

ディオクノ総裁は、今年の第2四半期のマイナス成長は、活動が制限された影響であって、経済が脆弱だからではないと言います。
 

「後退 は一時的です。消費者マインドが戻り、工場が再稼働し、建設活動、特にBBB(ビルド・ビルド・ビルド)プログラムが促進され、公共交通機関も完全に再開されれば、回復期はすぐにやってくるでしょう。」


総裁は、第2四半期の景気の急速な悪化の直接的な原因は、厳しい国を挙げてのロックダウンであったが、ロックダウンはもはや過去のものだと述べています。
 

「ワクチンの完成を待つ当面の間は、政府は、局地的な、村単位でのロックダウンをの方法を取ることにしています。したがって、職、収入、そして人々の生活への悪影響はおさまってくるでしょう。」と加えています。
 

一方で、フィッチレーティングスのアソシエート・ダイレクター、サガリカ・チャンドラ氏は、8月上旬に発表されたレポートの中で、パンデミックとコミュニティ隔離措置により、近い将来の国内経済の見通しは「悪化する一方」だと述べています。

政府による財政赤字の予測も、赤字幅が拡大が拡大する方向で見直しされました。


今年の対GDPの財政赤字の予測は、以前の8.4%から9.6%に引き上げられました。来年の対GDPの財政赤字も、以前の予測6.6%から8.5%に修正、2022年は5%から7.2%に修正されています。
 

パンデミックによりフィッチレーティングスがフィリピンの見通しを「ポジティブ」から「ステーブル」に見直し、格付けをトリプルB(BBB)に据え置いた2020年5月、フィッチレーティングスは、「経済の見通しは不確定で、世界およびフィリピン国内のウィルスの状況とロックダウン措置のさらなる延長または再実施の可能性によっては、ダウンサイドのリスクが大いにある」と言及しています。
 

チャンドラ氏は、「フィリピンはウィルスの封じ込めに苦戦していますので、ダウンサイドリスクが現実のものとなりつつあり、現在の2020年の経済成長率-4%はやや楽観的で、今後下方修正する可能性があります。」と述べています。
 

また、同氏は、2019年のGDPに対して34.1%と、政府の債務比率が低く、同じような格付けの国々の42.2%に比べても低いことから、財政的にはバッファーを蓄えた状態で景気が後退局面に入ったと説明しています。


これらのバッファーが、パンデミックの影響に対抗するための政府のプログラムに沿って使われている間は、財政上の見通しの悪化を吸収するための格付けレベルの余地がまだ残っています。
 

フィッチレーティングスは、一般政府の債務比率が今年、GDPの48%程度にまで上昇すると予測しています。これでも、フィリピンと同様の、格付BBBの国々の予測51.7%と比較すると低いレベルです。
 

フィッチレーティングスは、現在行っているモニタリングを通して、コロナウィルスショックが落ち着いたら、財政赤字と公債が、当局の中期的な枠組みと足並みをそろえて、回復の道をたどるかどうかの可能性を査定していくことにしています。また、今回の危機が、フィリピン格付けを支えてきた力強い中期的な成長可能性にどの程度影響を与えるのかも査定していくことにしています。

(出所:Philippines News Agency

(トップ画像:Dyu - Ha on Unsplash )