2022/09/22
フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas(BSP))は2022年9月22日、主要金利を4.25%に引き上げることを発表しました。高騰する物価に対抗するためのもので、このレベルの金利が最後に見られたのは2019年8月でした。
▼フィリピン主要金利推移(出所:Trading Economics)
今回の金融政策決定会合の決定は、広く予測されていたもので、8月に行なわれた50ベーシスポイントの利上げに続き、政策金利を1パーセンテージポイントの半分に相当する50ベーシスポイント引き上げるというものです。23日金曜日に発効します。
翌日物の預金・貸付金利はそれぞれ、3.75%と4.75%となります。
銀行および金融機関は、融資、クレジットカード、預金金利のベンチマークとして、中央銀行の金利を見に行きます。
金利が高くなるということは、借入コストが高くなるということで、企業も消費者も支出を控え貯蓄に回すようになります。中央銀行は通常、加速するインフレ、つまり物価の上昇率を抑えるのを助けるために利上げを行います。しかし、経済に回るお金が少なくなると、経済自体も減速することになります。
BSPは、インフレが来年までさらに加速をすると見ており、インフレ予測を年間の目標幅である2~4%を超えてさらに引き上げました。
BSPのフランシスコ・ダキラJr.副総裁は、世界経済の回復が予想よりも弱いことを主なダウンサイドリスクとして、「世界的な非石油価格の上昇の影響の可能性、保留となっているさらなる運賃値上げの申し立て、天候不順が食品価格に与える影響、並びに砂糖の価格の急騰などから、引き続き価格の圧力が生まれています。」と話しています。
前回予測の5.4%から引き上げて、BSPは今年のインフレ率を平均5.6%と予測しています。2023年については4.1%の予測で、こちらも前回予測の4%から引き上げました。
フィリピンのインフレ率は8月までで平均4.3%と、目標幅を超えています。
BSPの利上げの決定は、米国の連邦準備制度理事会が3度目となる75ベーシスポイントの利上げを行った数時間後に発表されました。3回連続で0.75%という異例の利上げに踏み切り、記録的なインフレを抑え込む姿勢を一段と鮮明にしました。
連邦準備制度理事会の物価上昇に対するアグレッシブな策によりドル高が進み、ペソを含む域内のその他通貨は価値を下げています。
木曜日、ペソは過去最安レベルまで落ち込み、終値1ドル=58.49ペソと、前日の最安値58ペソを更新しました。
▼過去5年間のUSD/PH為替レートの推移(出所:xe)
エコノミストらは、物価上昇と連邦準備制度理事会のタカ派の姿勢が続くことで、BSPが2022年の残りの期間にも金利を上げてくると見ています。
「現行の高いインフレ率と、米国の利上げが今年少なくともあと75ベーシスポイントあることを背景に、BSPは11月の会合でさらに25ベーシスポイント金利を引き上げて、年末には4.5%まで政策金利を持ってくると予想しています。」とオックスフォード・エコノミクスのアシスタントエコノミスト、マコト・ツチヤ氏は述べています。
一方で、フィリピンアイランズ銀行(BPI)は、国内外の「不確定性」が物価を押し上げる中、中央銀行が年末までに政策金利を5.25%に上げてくると予想しています。
(出所:CNN Philippines)
(画像:UnsplashのTech Dailyが撮影した写真 )
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