2021/07/22
[フィリピン] 中央銀行、景気回復が確実になるまで低金利維持
フィリピンは、戦後最悪のスランプから抜け出すため、景気が回復の軌道に乗ったという明確な兆しがでるまでは、経済成長を支援すべく低金利を維持する姿勢を示しています。
▼フィリピン経済成長率推移(出所:Philippines Statistics Authority)
フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas (BSP))のベンジャミン・ディオクノ総裁は、2021年7月初旬に行われたオンライン会見で、世界で最も影響力のある中央銀行、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めがあったとしても、フィリピンの金融システムは耐えうると、市場に安心感を与えました。
「フィリピンでは、景気回復が確実に軌道に乗るまでは、金融政策は引き続き支援を続けます。」
▼フィリピン政策金利推移(出所:Trading Economics)
また、ディオクノ総裁は、パンデミック期間に展開された約2.2兆ペソ(約4.8兆円)相当の金融的刺激策の緩和を始めるタイミングや条件については、国内のインフレや、中期的な成長見通しを感がみて判断していくと加えています。
景気が広く改善し、パンデミックが比較的コントロールできてきている兆候の見られる国も出始め、市場は、アメリカの連邦準備制度理事会を含む各国中央銀行が、政策正常化に向けてシフトを始めるのではないかと予想しています。
「BSPの金融政策と実施時期は、国内のインフレや、成長見通し、そして見通しにかかるリスクなどを踏まえて決定していきます。」
ディオクノ総裁は、データに基づき政策決定をしていくことで、BSPが政策による景気刺激を早期に撤回することを避ける狙いがある、と付け加えています。
一時的な供給問題から来ていた、最近の価格にかかる圧力が、非金融的対策により緩和されたことを受けて、インフレは目標幅の中に収まると見られています。
「米国が政策金利を思ったより早く上げるかもしれない可能性を含め、外的なショックに耐えうるだけの、十分な外部流動性のバッファーを備えています。」
「ワクチン接種や保険対策が着々と進み、財政政策支援も加わることで、「ポストパンデミック(パンデミック後)」のフェーズに入ったあとの好調な経済見通しを支えてくれます。」
今後について、ディオクノ総裁は、外的な要因のスピルオーバー効果も含め、インフレや経済成長見通しにリスクが出てこないかを注意深くモニタリングしていくと述べています。
さらに、BSPは、バランスが取れた持続的な経済成長の助けとなる価格の安定という、BSPの主な任務を確実に達成するために、必要に応じて金融政策を調整していく準備があるとも付け加えています。
(出所:Business Inquirer)
(画像:Photo by Ibrahim Boran on Unsplash )
もっと詳しく知りたい方はこちら