2021/08/16
[フィリピン]中央銀行、主要金利を再び据え置き
2021年8月12日、フィリピン中央銀行は、世界的な物価上昇による2021年~2023年のインフレ予測の上方修正と、パンデミックの中経済成長のダウンサイドリスクを認識しながらも、主要金利を据え置く決定をしました。
これにより、フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas (BSP))の翌日物のリバースリポ金利(RRP)は過去最低の2%、翌日物のレポ金利は2.5%、翌日物の預金金利は1.5%にそれぞれ据え置かれました。
▼フィリピン翌日物リバースレポ金利の推移(出所:Trading Economics)
中央銀行のフェースブックページで放映された会見で、BSPのベンジャミン・ディオクノ総裁は、「金融政策決定会合は、景気回復の勢いが軌道に乗るように、またリスク回避により融資活動が活発でない中、内需と市場心理の回復を助けるべく、必要な限りにおいて金融政策支援を継続していく考えである」と述べました。
今年のインフレ率予測は、4%から4.1%に、2022年から2023年の予測は3%から3.1%にそれぞれ上方修正されました。
今年の平均インフレ予測は、3年間の目標範囲である2%~4%を超えています。
ディオクノ総裁は、上昇するインフレ率については、「継続的かつタイムリーな非金融政策、および供給面の肉およびその他食品価格にかかる圧力を緩和するための改革の実施」を行うことで対応していくと述べました。
インフレ予測が上昇する中、ディオクノ総裁は、「インフレの期待値は、ベースライン予測にしっかりと合致している」と述べています。
ディオクノ総裁はまた、より感染力の高い変異株の感染拡大は、インフレーションのダウンサイドリスクとして働くとも述べ、「特に、封じ込め策の緩和が遅れることで、世界成長および内需の見通しをさらに冷え込ませることになりかねない」と付け加えています。
ディオクノ総裁は、隔離措置の実施を、景気回復のネガティブ要因の一つと位置づけており、対象を定めた財政上、保健上の介入、特に政府のワクチンプログラムの加速は、公衆衛生を保証し、フィリピン経済へのさらなるマイナスの影響を防ぐためにも欠かせない、と言います。
「今後も、BSPはインフレ率および成長率の見通しに対してリスクが現れないかを注意して監視していきます。BSPは、持続的な景気回復につながるような、価格と財政の安定を確保するために必要ならば政策をいつでも調整する準備はできています。」とディオクノ総裁は語っています。
(画像:Photo by Michael Longmire on Unsplash)
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