[フィリピン] 中央銀行、政策金利変えず

2022/03/28



2022年3月24日、フィリピン中央銀行の金融政策決定会合(Monetary Board)は、上昇する消費者物価よりも景気の回復を優先する選択肢を取りました。



フィリピン中央銀行の翌日物の借入、貸付、預金金利は、それぞれ2.0%、1.5%、2.5%に据え置かれました



ベンジャミン・ディオクノ総裁は、オンラインブリーフィングで、「不確定性が高まる中、検討の結果、景気回復の勢いを守るべく、BSPの政策金利を維持する余地があると判断しました。この特別な流動性措置について、徐々に正常化していく計画も進めてはいます。」と話しています。



政府が行動制限を緩和したことで、国内の経済活動は加速化しました。しかし、高まる地政学的な緊張に加えて、複数の国では再びCovid-19感染が高まっていることで、世界の成長見通しを曇らせています。



ディオクノ総裁はまた、世界的に物価が上がっている影響で、前回の金融政策会合から、最近のベースライン予測が上がったことも認めています。



平均インフレ率が4.3%で、今年の目標2~4%を破り、前回の予測3.7%を越えてくる可能性があると警告しています。しかし、来年には、消費者物価の上昇率は、前回の3.3%からは高いものの、3.6%と目標レンジ内に収まる予想です。



ディオクノ総裁によると、ドバイの原油価格が2022年には1バレルあたり102.2ドル、2023年は88.2ドルの前提で最新のインフレ率の予測がされているということです。



当局は、現在の物価が高い水準を保った状態が、今年前半は続く見込みだとして、より大きなレベルで世界の非石油価格の上昇も検討しています。



最新の前提には、ロシア・ウクライナ紛争による世界的な経済成長の低迷の可能性も織り込まれています。



国内の豚肉と海産物の不足はもちろん、石油価格の上昇が食料全体に及ぼす影響もまた、短期的なインフレのアップサイドリスクとなりそうです。



ディオクノ総裁は、「これについて、影響を受けやすいセクターについては、上昇する原油価格の影響を軽減すべく、社会保障措置を取ることを支援していきます。」と述べています。



一方、ダウンサイドリスクについては、多くが継続するCovid-19感染の脅威に関連するものです。新しい変異種が世界経済の回復を抑え込み、各国に封じ込め策の再実施を強いる可能性があります。



サプライチェーンの混乱もまた、インフレの圧力を高める方向に働くとディオクノ総裁は述べています。早期の介入を行い、二次的影響を防ぐべく、注意深く監視していく必要があるとしています。



「短期的に、価格への圧力がさらに広まる可能性もありますし、価格と金融の安定化という目的を踏まえて、BSPは、
インフレ予想のよりどころを失くし兼ねないインフレの圧力の蓄積に対応する準備ができています。」




(出所:Manila Times

(画像:Photo by Alexes Gerard on Unsplash )