2023/09/04
2023年8月17日、フィリピン中央銀行は木曜日、基準金利を3会合連続で6.25%に据え置きました。
インフレ・リスクは上向きですが、フィリピン中央銀行(BSP)のエリ・レモロナ総裁は、中央銀行は「経済成長に対する厳しい見通しを認識している」と述べました。
レモロナ総裁は、第2四半期のGDPが前年同期比4.3%(市場コンセンサスは6%)と期待外れに落ち込んだことから、成長の勢いが減速していることを意識しているようです。BSPは、インフレ率は今後数ヶ月でさらに鈍化し、ヘッドラインインフレ率は第4四半期までに目標内に落ち着くと予想しています。
しかし、レモロナ総裁はタカ派的なスタンスを維持し、データに基づいた意思決定をし、必要であれば政策金利を引き上げる用意があると繰り返しました。BSPはインフレ見通しを上方修正したましたが、これは世界的なエネルギー・食料価格の動向によるものとみられています。BSPの見通しでは、2023年のインフレ率は5.6%(6月時点では5.4%)、2024年のインフレ率は3.3%(同2.9%)となっています。
今回の金融政策会議は、前任のフェリペ・メダーリャ氏に代わって新しく就任したレモロナ総裁の最初の政策会議でした。レモロナ総裁は、物価上昇圧力の芽を摘むために制限的な金利水準を維持しながらも、脆弱な成長モメンタムを支える必要性とのバランスを考慮し、利上げの一時停止を3会合連続で延長することを決定しました。
利上げを一時停止したとはいえ、レモロナ総裁はタカ派的なバイアスを維持し、インフレ期待を落ち着けるためには利上げを速やかに実施する可能性もあることを明言しています。オランダのアムステルダムに本拠を置くING銀行は、BSPが、潜在的な賃上げ、米価調整、輸入エネルギーコストの上昇など、インフレ見通しに対する上振れリスクを監視し、今後の政策に反映させるだろうとコメントしています。また、レモロナ総裁は、インフレへの潜在的なパススルー影響を考慮し、スポット市場をモニタリングすると予想しています。
さらに、ING銀行は、成長とインフレのリスクをバランスさせるため、BSPは年内は政策金利を現状の水準に維持すると予想しています。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に政策金利の引き上げを選択した場合、BSPは金利差を維持するために、利上げを検討する可能性があるとも述べています。
▼インフレ率とフィリピン中央銀行(BSP)の基準金利の推移(出所:ING)
グレー:総合インフレ率、青:コアインフレ率、オレンジ:BSPの基準金利
(画像:UnsplashのAeron Oracionが撮影した写真)
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