2022/07/12
フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas(BSP))のフェリペ・メダーリャ総裁は、加速するインフレ率と連邦準備制度の利上げ対応の一助として、8月の中央銀行の主要金利を50ポイント引き上げることもいとわない姿勢です。
2022年7月7日にジャーナリスト向けに送信したメッセージの中で、総裁は、今後数か月の間に起こり得る利上げについて、「漸進主義には良し悪しある」として、「インフレ率が高すぎる場合は、たとえその原因がBSPの一連の政策に影響しなくとも、金融政策対応が必要になるかもしれない。」と述べています。
メダーリャ総裁は、中央銀行は「価格の安定性を維持することに最大の努力を払っている」として、「為替に大きな影響を与える要因が、すでに高いレベルにあるインフレにさらなる拍車をかけることを許すのは賢明ではない」と述べています。
「このため、BSPは、当初の漸進主義的なスタンスと比較すると、政策金利の引き上げについてよりアグレッシブになる準備はできています。特に、8月までに、政策金利を50ポイント上げる心構えができています。」とも述べています。
BSPの主要金利は、今年に入って、5月に25ポイント、6月に25ポイント、合計50ポイントすでに引き上げられました。
▼フィリピン政策金利推移(出所:Trading Economics)
これらの利上げは、国内経済が順調に回復してきているので、上がり続ける国内のインフレ率を和らげる余裕がBSPにはあると金融当局が判断したうえで行われました。インフレ率は、4月に政府の目標レンジである2~4%を超え、4.9%に達しました。
価格上昇率は、さらに加速して、5月には5.4%、6月には6.1%を記録しました。主に、国際市場での石油価格の上昇の影響です。これが、国内の石油およびその他商品・ユーティリティの価格に影響しただけでなく、運賃値上げなどの二次的な影響も引き起こしました。
メダーリャ総裁は、金融当局が注意深く金融市場の動き、特に連邦準備制度のタカ派のスタンスを監視していると述べています。米国の連邦準備制度は、3月からすでに主要金利を150ポイント引き上げています。米国における40年間で最高レベルの消費者物価指数(CPI)に対応するためです。
メダーリャ総裁は、この一連の米国の利上げの結果のひとつが、世界中の通貨の値下がりとして現れており、フィリピンペソも、その影響を受けていると述べています。
総裁は、「このような圧力に対処しないまま放っておくと、すでに高い国内のインフレ圧力に拍車をかけることになる」として、現地通貨の価値下落に対応する必要があるとコメントしています。
利上げの判断以外にも、BSPは必要があれば、さらなる政策対応を取っていくと総裁は述べています。
「2023年にスピルオーバー効果をもたらしそうなさらなるインフレの圧力を抑え込むために、他の政府機関による非貨幣的な対応も支援していくつもりです。」と加えています。
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