[フィリピン] 中央銀行1Q にさらなる利下げの余地

2021/01/08

[フィリピン] 中央銀行1Q にさらなる利下げの余地

物価安定数値目標政策を取るフィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas (BSP))は、消費者物価が落ち着いているので、2021年第1四半期にさらなる利下げを行う余地があるとみられています。


こちらの見方は、投資会社であるファースト・メトロ・インベストメント社とアジア太平洋大学が、2020年12月に共同で発表したリサーチ「The Market Call」の中で明らかにしています。


リサーチでは、11月のインフレ率の上昇は一時的なもので、価格は同月に上陸した一連の台風前の水準に戻るだろうと述べられています。


台風「ユリシーズ」を例にとると、メトロマニラに洪水を引き起こしただけでなく、ルソン島の北東、南東地域にも被害をもたらしただけでなく、食料の流通にも影響を与えました。これを受けて、消費者物価指数は10月の2.5パーセントから11月は3.3パーセントに上昇しました。


しかし、被害は一時的なものだとして、同リサーチでは年間のインフレ予想を2.6パーセントに据え置き、2021年のインフレ率はそれよりやや高いレベルとしました。11月下旬までには、消費者物価は通常レベルに戻り始めたとも述べています。


「米の価格も安定的でしたし、他の食糧価格も落ち着き、最近の原油価格の上昇と相殺されるでしょう。通貨供給量の伸び率は引き続き減速し、これが2021年1月までには2パーセント近くに戻るインフレ率と相まって、BSPに2021年第1四半期にさらに25ベーシスポイントの利下げを行って国内経済を押し上げ、(政府の)借り入れ金利を下げる余地を与えるでしょう。」


リサーチではさらに、国の景気見通しについて、企業間はもちろん、消費者の間や、Covid-19パンデミックと戦う医療関係者の間でも楽観的な見方が高まってきていることについても触れています。


「(2020年)第4四半期に、景気予想もポジティブに変わりました。消費者については、この動きが2021年第1四半期に起こるでしょう。今後12か月は、企業、家庭の両方で大きく改善するでしょう。経済のさらなる再開、より多くの職が生まれ、パンデミックとの戦いにも勝利が見えてくる期待感を反映しています。」


アメリカ、中国、ヨーロッパの一部で12月ワクチンの展開が承認、発表されたことに加えて、リサーチではフィリピン国内の日当たりの新規感染者数、死者数、および現感染者数が着実に減少している傾向についても言及しています。


一方で、海外で働くフィリピン人の送金額も8月~10月の3か月間で好調だったことから、2021年通年では5%以下に収まるものの、プラスになるだろうとも述べています。


外国為替市場については、レポートは、景気がさらに回復し、資本財や原材料の輸入の復活を反映して貿易赤字が増加するであろう2021年第1四半期までに、米ドルに対してペソ安に動くと予想しています。


(出所:Business Inquirer
(トップ画像:Photo by Brian Bondoc on Unsplash)