2020/09/08
[フィリピン] 中央銀行2021年まで金利据え置きか
今年、すでに主要政策金利を175ベーシスポイント切り下げたフィリピン中央銀行は(BSP)は、2021年まで今の金融政策を変えずにいくのではないかとの見方を、INGフィリピンのエコノミストはしています。
▼過去5年間のフィリピン政策金利の推移(出所:Trading Economics)
オランダに本拠を置く総合金融機関INGは、今年の残りの期間のインフレ率について、経済活動が縮小、対USドルでフィリピンペソが強い状態となっていることから、現地通貨建で輸入品が安くなり、BSPのインフレ目標幅2~4%の下限近くで推移するのではないかと予想しています。
実質政策金利がマイナス(-0.15%)であることから、INGフィリピンのエコノミスト、ニコラス・マパ氏は、9月5日に発表されたリサーチで、BSPは「2021年まで金利レバーを触らないでおく」だろうと述べました。
インフレが名目金利を上回ったときに実質金利はマイナスとなりますが、景気の後退局面で起こることは珍しいシナリオです。
2020年8月のインフレ率が、7月の2.7%から下がって前年同期比で2.4%となり、2020年累計でのインフレ率は2.5%となりました。8月のインフレ率は、コンセンサス予想の2.7%よりも低い結果となりました。
「景気が後退局面に入り、需要サイドの物価の圧力が予想よりも早く薄れたことにより、8月に入って物価の圧力が弱まりました。8月前半の2週間は、マニラ首都圏がより厳しいコミュニティ隔離措置に置かれていたため、すでに引きずっていた需要をさらに減速させました。」とマパ氏は説明しています。
8月のインフレ報告が思いのほかダウンサイドだったにもかかわらず、BSPのベンジャミン・ディオクノ総裁は、「少なくとも2四半期は」金融政策の調整を行わないこと、そして金融市場が流動性にあふれている今、準備金比率の要件を引き下げることもしないことをほのめかせています。
BSPは、今年準備金利比率要件を2%引き下げ、12%としています。
(出所:Business Inquirer)
(トップ画像:Jim Flores on Unsplash )
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