[フィリピン] 中央銀行、商業不動産価格インデックスのリリース計画

2021/06/28

[フィリピン] 中央銀行、商業不動産価格インデックスのリリース計画


フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas(BSP))は、変動しやすい不動産セクターにおける銀行のリスク度合をモニタリングするための市場監視ツールとして、商業不動産価格インデックス(commercial property price index)を発行する予定です。


週次のメディア向けの会見の中で、BSPのベンジャミン・ディオクノ総裁は、2016年第1四半期に開始したレジデンシャル不動産価格インデックス(RREPI)を補完する形で、今年中に中央銀行が商業不動産価格インデックス(CPPI)の公表していくことを明らかにしました。


「不動産セクターの価格トレンドに対する監視と財務的なリスク測定を拡大する一環として、BSPは商業不動産価格インデックスを年内に発行します。」とディオクノ総裁は述べました。


CPPIとRREPIは、不動産セクター全体の動きをモニタリングする目的で使用されるということです。


2016年にRREPIを採用したことで、中央銀行が、リスクの認識と政策決定のために必要不可欠な市場監視活動を強化することにつながりました。


RREPIデータを使用することで、BSPは、レジデンシャル不動産セクターにおいて銀行セクターがリスクにさらされる度合いを計測・監視し、価格・信用トレンドの推移をモニタリングし、タイムリーかつ適切な政策決定を、必要とあれば関係機関と連携して行い、システミック・リスク(*)の増加を抑えることができている、とディオクノ総裁は語っています。


(*) システミック・リスクとは、個別の金融機関の支払不能等や、特定の市場または決済システム等の機能不全が、他の金融機関、他の市場、または金融システム全体に波及するリスクのことをいいます。(出所:日本銀行


RREPIは、フィリピンのレジデンシャル不動産の価格の変化の指標です。インデックスの伸び率では、住宅価格のインフレーションを計ることができます。RREPIの上昇は、平均的にレジデンシャル価格が上昇していることを示し、RREPIが下がるとその逆が起こっていることを示しています。


インデックスの整備は、不動産セクターにおいて銀行がさらされる相当のリスク、ならびに銀行の受ける不動産関連リスクに関する情報量が限定的だったことにより、国内外のショックに対する金融セクターの弱さが浮き彫りになった2007年、2008年の世界金融危機の体験を受けて行われました。


「政策を決定するうえで、銀行がさらされるリスクはもちろん、国内の不動産セクターにおける価格トレンドにかかるタイムリーかつ適切、そして正確なデータを把握しておくことは極めて重要である」とディオクノ総裁は述べています。


2020年第4四半期のRREPIでは、不動産価格が、Covid-19パンデミックによりもたらされた不確定性により2020年第3四半期、過去5年間で初めて下落したのち、第4四半期には回復したことを示しています。



(出所:Philstar

(画像:Image by Tumisu from Pixabay )