[フィリピン] 地方BPO拡大6割がセブ

2023/02/16


ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)企業は、2022年もその事業の拡大を続け、メトロマニラ以外の事業拡大のうち60%をセブが占めました。



総合不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンのレポートによると、メトロマニラ以外で2022年に行われたオフィス取引は221,100平米で、2021年の113,100平米のほぼ倍となりました。セブは、地方で行われた取引の60%を占め、続いてダバオ(17%)、パンパンガ(12%)、バコロド(35)、ドゥマゲテ(3%)でした。



2022年に行われた取引の中でも特筆すべきは、セブでWipro、Concentrix、Avantが、ダバオでAloricaが、バコロドとラグーナでUbiquity、パンパンガでAsurionとInfosysがオフィススペースを確保した取引です。



コリアーズは、これらの企業の中には、地方の賃料が魅力的であるだけでなく、高品質なオフィススペースやスキルを持った人材が手に入ることなどから、メトロマニラ以外への事業拡大を進めてきたものがあると述べています。



コリアーズのレポートによると、業種別の地方のオフィススペース取引では、アウトソーシング企業が70%とほぼ独占状態でした。



一方で、従来企業もオフィススペースの確保を進め、占有スペースは200平米から2,500平米となっています。2022年のオフィススペース需要をけん引したのは、物流、金融などの従来企業やフレキシブルワークスペース事業者でした。



ハイブリッド型の働き方の人気に伴い、コリアーズは家主に対して、セブ、イロイロ、ダバオ、カガヤン・デ・オロ、パンパンガ、ドゥマゲテといったメトロマニラの外の主要地域に、もっとフレキシブルワークスペースを開発することを検討すべきだと提案しています。というのも、これらのロケーションにあるフレキシブルワークスペースの在庫は比較的少なく、メトロマニラと比較して空室率も低いからです。コリアーズは、拡大を続ける従来のアウトソーシング企業はもちろん、将来の成長に向けたインキュベーションスペースとしてコワーキングを利用するスタートアップからも、これらのロケーションにおけるフレキシブルワークスペースへの関心が高まっていると述べています。



コリアーズの予測によると、2023年から2024年にかけて、セブ、パンパンガ、イロイロでは、38万平米の新築オフィススペースが完成予定です。同社は、イリガン、ダグパン、ウルダネタ、マロロス、ジェネラル・サントス、タルラック、カバナトゥアン、プエルトプリンセサといった主要都市における需要の可能性に目を向けるようデベロッパーに提言しています。というのも、これらの地域は、フィリピン情報・ビジネスプロセス協会(IBPAP)によると、これらの地域は「2025年までにデジタル都市に変貌する」可能性が高い地域とされているからです。



現在も、これらの地域はすでにフリーランサーに人気のエリアとなっています。コリアーズは、セブを含めこれらの都市は、今後もメトロマニラ以外に事業を拡大しようとするアウトソーシング企業に人気の進出先となるだろうと述べています。



短期~中期的に、質の高いインフラ、スキルを持った人材、地方政府の競争力戦略によって、この関心は持続するものと見られています。




(出所:Philstar

(画像:UnsplashのJames Anthonyが撮影した写真 )