[フィリピン] セブ不動産市場の成長見通し

2021/02/05

[フィリピン] セブ不動産市場の成長見通し


セブ不動産市場もまた、パンデミックによって引き起こされた国内経済の混乱の影響を受けています。本日は、総合不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンが寄稿しているニュース記事をご紹介していきます。


セブのオフィス賃貸も、レジデンシャルユニットの発売および成約ともに、2020年1月から9月でかなり苦戦しました。しかし、政府の対コロナの努力などポジティブな動きもみられており、コリアーズは今後のセブ地域の不動産市場の成長を支えることになりそうだと楽観的な見方を示しています。2021年に入って、同社は市場の好みがシフトしつつある様子が見て取れるということで、コロナ後のセブの不動産市場を再定義することになりそうだと述べています。


オフィス賃貸は厳しいもののITパーク、ビジネスパークは回復早い

2020年末時点で、コリアーズは、純成約面積-55,700平米を記録したと発表しています。これにより、空室率は、2007年に同社がデータを取り始めて以来最高の19.9%に達したということです。2021年には、さらにオフィススペースの空室が目立つようになるのではないかと予想しています。というのも、アウトソース企業や第二外国語としての英語(ESL)事業者が、オフィスを閉じたり、縮小したりしているからです。しかし、コリアーズは、セブITパーク、ビジネスパークといった主要ハブでは、市場心理が改善すれば、かなり早いペースで回復が見られるだろうとも予測しています。


アウトソーシング先としての競争力

ソロンズのサービスグローバル化インデックス2020年(Tholons Services Globalization Index 2020)の結果に基づくと、セブは世界で15番目に競争力の高いアウトソース先です。トップ100に入ったフィリピンの都市は、セブとマニラだえです。これは、マニラ以外のロケーションを求めるアウトソーシング企業に対して、セブの競争力と可能性をアピールすることになり、市場心理の回復とともに、より多くのアウトソーシング企業を誘致し、2021年以降のオフィスリースの力強い成長に貢献しそうです。


レジデンシャル投資のオポチュニティ

セブは、マニラ以外の投資ハブとして知られており、過去数年間でかなりの変貌を遂げてきました。


セブのレジデンシャル部門は、マニラのプロジェクトと比べると割安です。地方デベロッパーも全国区のデベロッパーも増え、セブの地価および不動産価格は上昇しました。これに、総合的なコミュニティ、リゾート指向の開発、また高価格帯のプロジェクトへの需要も増加しました。


2019年、セブ州全体の発売物件数は12,400戸、成約件数は10,600戸と過去最高に達しました。しかし、2020年1月~9月では発売物件数は2,000戸(前年同期比-80%)、成約件数は4,100戸(-54%)となっています。コリアーズは、2021年後半期のレジデンシャル需要の回復はゆるやかなものを見込んでいますが、国の経済成長、事業拡大、政府の対コロナプログラムなどの成功にかかっていると述べています。


中所得層向けのコンドミニアムユニットの需要が、メトロセブの発売件数、成約件数をけん引しています。2020年1月~9月で、中所得層向けセグメントは、成約件数の51%を占めました。これは、セブ人投資家およびエンドユーザーが過去数年間で購買力をつけてきたことを物語っています。このセグメントに該当するプロジェクトが、2021年末から2022年にかけての需要の回復を部分的に回復させることにつながるとみられています。


コリアーズは、デベロッパー各社に対して、セブのエンドユーザー市場の要件に合うようにしていくべきだと提言しています。コンドミニアム以外に、土地付きの一戸建て住宅(H&L)も海外で働くフィリピン人労働者(OFW)に人気です。実は、OFWはエンドユーザーでもあるため、セブの一戸建てレジデンシャル市場の牽引力でもあります。コリアーズはデベロッパー各社に対して、衛生面や緊急時の備えなどを強調することを低減しています。というのも、パンデミックによって、厳しい不動産管理が行われている建物に住む必要性に焦点が当たったからです。


パンデミックが起こした課題に直面し、市場に不確定性があふれる中、デベロッパーも投資家も方向転換が迫られています。コリアーズは、フィリピン不動産シーンにさらなる調整が入ると見込んでいます。


(出所:Business Inquirer
(トップ画像:Photo by Hitoshi Namura on Unsplash)