2022/07/14
業界団体のデータによると、中国各地で、マイホーム購入者が未完成のプロジェクトへの住宅ローンの支払いを止めており、問題を抱えた国内の不動産市場における金融危機波及の不安が広がっています。
2020年、当局は不動産業界の過剰な負債の取り締まりに乗り出しました。日本でもニュースをにぎわせた恒大集団(Evergrande)、融創中国(Sunac)といった大手は、支払いや債権者との再交渉に苦しんでいます。
最近の痛手は、デベロッパーが販売済みのユニットの建設工事を再開していない場合に、住宅ローンの支払いを拒否するマイホーム購入者が増えていることです。
2022年7月13日時点で、リサーチ会社 中国不動産情報公社(China Real Estate Information Corporation)のデータによると、50都市の少なくとも100件のレジデンシャル不動産プロジェクトで、住宅購入者がユニットの支払いを停止しているということです。
金融サービス会社ジェフェリーズ(Jefferies)のアナリストのレポートによると、このプロジェクト数は月曜日の28件、火曜日の58件から日ごとに倍増しています。
支払い拒否の対象となっているプロジェクトには、大幅な遅れが生じているものや、引き渡し日に至っていないものが含まれているということです。今回の件によって、購入者の心理は冷え込み、販売の回復に重くのしかかりそうだとレポートでは述べられています。
すべての住宅購入者が債務不履行となれば、不良債権は3,880億元(約8兆円)増加することになるとジェフェリーズは述べています。
今回、住宅購入者たちがこのような行動に走った背景には、プレセールの物件の引き渡しが遅延したり、引き渡しそのものが不透明だったり、建設が止まったりしていることにあると野村ホールディングスのアナリストは述べています。
「中国では、住宅販売の最も一般的な方法がプレセールです。したがって、その危険は高いです。」
「住宅購入者が『住宅ローンの返済を止める』行動の金融的な影響を特に懸念しています。中国の不動産低迷がついに国内金融機関にも悪影響を与えるかもしれません。」
今回の動きは、中国の成長率が減速し、不動産販売が低迷している中で起こりました。習近平国家主席に任期の延長が予想される、この秋の中国共産党第20回党大会を前に、安定性へのリスク要因となりそうです。
(出所:New Straits Times)
(画像:Photo by Hanny Naibaho on Unsplash)
もっと詳しく知りたい方はこちら