[フィリピン] オフィス賃貸の回復がレジデンシャルにも影響

2022/05/24


2022年第1四半期、フィリピン経済は8.3%成長を遂げ、1年前の-3.8%から逆転しました。多くのアナリストが2022年第1四半期の成長率として予測していた6.7%成長を上回る結果となり、政府の通年の目標レンジである7~9%に入ってきました。フィリピンは東アジア地域で、この期間最も急速に成長した経済圏となりました。



総合不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンは、このレベルの経済生産高があれば、2022年以降もGDP成長率が加速すると見ています。多くのデベロッパー、投資家、企業は5月9日の選挙を前に、様子見の姿勢を取ってきました。新しいリーダーの顔ぶれが決まったことに加えて、加速するインフラ建設など不動産業界に有利な改革の継続実施が、今後3から6年間の拡大計画を従えた不動産会社の道しるべとなるだろうとして、デベロッパー各社は投資家の意欲の改善を見据えて、プロジェクトを続々と揃えておくべきだと述べています。


オフィス部門について、コリアーズは、オフィス復帰の動きでオフィススペースの成約に回復が見られるだろうと予測しています。コロナ感染状況の改善と景気刺激策の可決が、今年の残りの期間のオフィススペースの成約を後押ししそうだと述べています。


レジデンシャル部門について、コリアーズは、職場で業務にあたる従業員が増えることや外国人駐在員が徐々に戻ってくることで、賃貸市場の回復が見られると述べています。メトロマニラの自動車の交通量もコロナ前のレベルに戻りつつあるため、オフィスに近い場所にコンドミニアムやコリビング施設を賃貸しようとする人が増えてきそうです。レジデンシャル需要もまた、オフィス賃貸の増加や企業景況感の改善に支えられています。


リテール部門については、コリアーズは、メトロマニラ全体で、2022年第1四半期の空室率は上昇を続けたものの、ペースは落ちてきていると述べています。業界団体は、モールの客足がコロナ前の63%程度まで戻ってきていると報告しています。コリアーズは、メトロマニラのコロナ対策アラートレベルがレベル1に下げられたことや、ワクチン接種率の上昇が、消費者の客足も信頼感も高める方向に働くだろうと述べています。



業界団体は、今後3~6年で新しい政権が実施するであろう改革の展開を待ち望んでいます。コリアーズは、これらの改革が、同期間の不動産業界の発展戦略に影響を与えることになりそうだと述べています。





(出所:Colliers

(画像:Image by geri cleveland from Pixabay)