[フィリピン]不動産市場、2022年を力強く終える

2022/12/15


総合不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンによると、オフィスのリース取引に改善が見られたことに加えて、メトロマニラのコンドミニアムプレセール市場の供給と需要の増加、モールの客足の復活、ホテル稼働率および客室一室あたりの平均販売単価(ADR)の増加を受けて、フィリピンの不動産業界は、力強く2022年のフィニッシュを迎えそうです。堅調なマクロ経済のファンダメンタルズに後押しされる形で回復が続くとみられることから、この楽観的な見方は2023年も続くと予想されています。



オフィス


オフィス不動産について、コリアーズは2023年には正味成約面積がプラスになると予想しています。IT-BPM企業および従来企業(法務、エンジニアリング、建設、政府機関、フレキシブルワーキング事業者など)に支えられ、成約面積は338,600平米に達するとみられています。コリアーズは、オフィススペースのデベロッパー各社に対して、新しいオフィスタワーの建設や、よりフレキシブルな職場を提供することで、メトロマニラ内外でのオフィスのリース活動のリバウンドを取り込んでいくべきだと提案しています。



レジデンシャル


コリアーズは、2023年には5,600戸の新築コンドミニアムユニットが引渡しを迎えると予想しています。そのうち3分の2がベイエリアです。2024年末までに、メトロマニラ内の主要なビジネス街のコンドミニアムの在庫は、2021年の142,200戸から17%増の166,400戸に達すると見られています。エリア別では、ベイエリアがフォートボニファシオを抜いて、マニラ首都圏最大のコンドミニアム市場に成長しそうです。メトロマニラのプレセール市場の回復が進む中、コリアーズはデベロッパー各社に対して、プロジェクトにサステナブルでグリーンな機能を取り込んでいくこと、オープンスペースやグリーンエリアをどんどんアピールしていくように提案しています。



リテール


大手モールデベロッパー各社は、2022年第3四半期のモールの客足が、コロナ前の85%~95%程度にまで戻ってきていると報告しています。1年前はたったの40%でした。コリアーズによると、2023年に新築のリテールスペース448,900平米が完成すると予想されており、リテールスペースの成約面積とモールの客足が改善するにつれて、賃料も回復してくると見られています。また、コリアーズは、客足の増加と購買力の増加を見込んで、モール内の店舗面積を増やす国内外の小売業者が増えてくると予想しています。



工業不動産


工業不動産は、マルコス新政権の工業化の動きの後押しを受けそうです。コリアーズは、製造業の競争力が向上することで、投資を呼び込み、特に北部および中部ルソンを中心とした工業団地に恩恵をもたらすだろうと考えています。CALABA(カランバーラグーナーバタンガス)地帯では、およそ112ヘクタールの工業不動産が今後在庫に加わるとみられていますが、拡大を続ける製造企業、物流企業がこれを埋めるのに一役買いそうです。



ホテル


政府観光局のデータによると、2022年11月14日時点の外国人訪問客数は200万人となり、今年の目標として設定されていた170万人を超えました。2022年前半期のメトロマニラのホテル客室稼働率は、2021年後半期の44%からさらに上がって47%となりました。出張や、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議 (Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字を取ったMICEを再開する動きが出ています。コリアーズは、国内外からの観光客により稼働率もADRも改善することが予想される中、今後、さらなる外国ブランドのホテルのオープンがありそうだと述べています。



(出所:Colliers Philippines

(画像:UnsplashのWander Fleurが撮影した写真)