2021/09/09
日本では多くの都道府県で実施されている緊急事態宣言について延長の方針だとの報道がなされていますが、東南アジア諸国のコロナの状況、ワクチン接種の状況はどうなっているのでしょうか。
世界の貧困、病気、飢餓、環境などといった大きな問題に焦点を当てたオンライン科学出版「Our World in Data」で、マレーシア、フィリピン、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、日本の7か国の状況を比較していきましょう。
1.コロナ感染状況
(1) 一日の新規陽性者数推移
一日の新規陽性者数を見ていきます。検査をして陽性となった人の数ですので、実際に感染している人の数より少なく出ますが、それでも各国の感染の波の様子が見て取れます。インドネシアは一日に5万人近くにも達した時期があったようですが、急激に減っています。ベトナムは、昨年から今年に入るまで、かなり感染者数を抑えてきましたが、デルタ株の感染の広がりを受けて、急激に感染者数が増えています。
(2) 人口100万人あたりの一日の陽性者数
先のグラフではインドネシアの陽性者数が多かったものの、100万人あたりではマレーシアが比較している7か国の中では一番多く、続いてタイとなっています。
(3) 陽性者数累計
陽性者数の累計では、インドネシアが最も多く、小さな島国シンガポールが数値を低く抑えています。2020年末にインドで見つかり、その後急激に拡大したデルタ株の影響と思われる急激な増加をここでも見ることができます。
(4) 累計の死者数
死者数の推移です。検査をしないで亡くなった人は含まれていないので、実際にコロナで亡くなった人の数全体とは乖離がある可能性がありますが、分かっている範囲の絶対数ではインドネシアがとりわけ多いようです。
(5) 100万人あたりの一日の死者数
人口100万人あたりの一日の死者数の7日間移動平均です。前述の通り、コロナが死因と特定された人のみのデータではありますが、マレーシア、ベトナムが増えてきていることがわかります。一方で、シンガポール、日本は比較的少ないレベルを維持しています。
2. ワクチン接種
(1) 完全にワクチン接種を終えた人の割合
では、国民に占める「完全にワクチン接種を終えた人」の割合を見ていきましょう。ここでいう完全にワクチン接種を終えた人とは、ワクチンに定められた接種回数をすべて接種した人のことです。シンガポールがダントツで、国民の7割を超えています。マレーシアと日本の接種が着々と伸びてきている一方で、インドネシア、タイ、フィリピン、特にベトナムでは伸び悩んでいる様子がわかります。
(2) ワクチン接種を受けた人の割合
2021年9月7日時点の断面で、ワクチン接種を受けた人の割合を見てみましょう。濃い緑が完全にワクチン接種を終えた人、薄い緑が部分的に接種を終えた人の割合です。シンガポールでは、接種を受けた人はほぼ2回接種が終わっているようです。一方で、タイやベトナムでは1回は受けたものの、2回目を終えていない人の割合が多いので、今後ワクチン接種が進んでいくことが予想されます。
(3) 100人あたりの一日のワクチン接種回数
人口100人に対して接種されたワクチンの回数の7日間移動平均です。複数回接種するワクチンについては、1回の接種を1回とカウントしています。すでに国民の7割以上の接種完了を達成しているシンガポールは、早い時期からワクチン接種を進め、今は若干落ち着いてきているようです。マレーシアと日本、そしてタイは、ワクチン接種加速の努力があらわれています。
いかがでしたでしょうか。グラフ化されたデータを見ることで、各国の動きがよくわかりますね。
(画像:Photo by Nick Fewings on Unsplash )
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