[フィリピン] コンドミニアム市場に立ち直りの兆し

2023/09/11


総合不動産サービス会社コリアーズは、フィリピン経済の力強い回復から大きな恩恵を受け、住宅市場が今後さらなる回復を遂げるだろうと述べています。特に、投資物件としてはインテグレーテッド・コミュニティや主要インフラプロジェクトの近くのものが、インフレヘッジとしての可能性を持っていること、賃貸物件についてはコロナ禍以降外国人駐在員が戻ってきていることなどを、今後の見通しを明るくする要素として挙げています。



資産価値増加の可能性


コリアーズ・フィリピンは、マニラ首都圏の投資家市場は、引き続きコンドミニアムの値上がり可能性に依存していると考え、デベロッパー各社に対しては、インフレヘッジとしてのコンドミニアムの可能性を積極的にアピールすべきだと提言しています。



また、インテグレーテッド・コミュニティと呼ばれる総合型コミュニティや公共インフラ・プロジェクトの近くに立地する高層物件は、大きな値上がりのポテンシャルを秘めているので、投資家がコンドミニアムを取得しようとする際には、これらの点を重視するとよいだろうと述べています。



マニラ首都圏以外のプロジェクトは戸建てや土地のみが中心


コリアーズ・フィリピンによると、パンパンガ、カヴィテ、ラグーナ、バタンガスなど、マニラ首都圏以外の主要エリアにおいて、一戸建ておよび土地のみのプロジェクトにも安定した需要が見られます。



同社によると、パンパンガ州とブラカン州では、2022年の分譲住宅および分譲地のみの販売件数は前年比3%増の約7,200戸を記録しました。一方、カビテ-ラグナ-バタンガス回廊の戸建てプロジェクトの平均販売件数は、2022年末までに前年比2%増の18,700戸に達しました。



マニラ首都圏以外では、エンドユーザーの需要が中心で、海外で働くフィリピン人労働者(OFW)からの送金を受ける世帯が部分的にその需要をけん引しています。コリアーズは、今後もデベロッパー各社が、こういった需要を取り込むべくマニラ首都圏以外の戸建てプロジェクトを進めていくとみています。



今後、首都圏以外で大規模な戸建て中心の住宅地プロジェクトを立ち上げる予定のデベロッパーは以下の通り:

ロックウェル・ランド社:バタンガス州リアンのビーチ物件(85ヘクタール)、ブラカン州サンホセデルモンテの住宅プロジェクト(100ヘクタール)。

センチュリー・プロパティーズ社:2023年第3四半期にバタンガス州リパとラグナ州で、「ファースト・パーク・ホームズ・ブランド」で新規プロジェクト2件を立ち上げ予定。

セブ・ランドマスターズ社:南ルソン(ナガ、バタンガス、カビテ中心)で住宅地プロジェクトの計画を発表。計画を発表した。将来の事業拡大計画として、ルソン島中部も視野に入れている。



供給戸数の中心はベイエリア、マカティCBD、フォート・ボニファシオ


2023年第2四半期にマニラ首都圏で完成したコンドミニアム・プロジェクトは、アルヴェオ・ランドのパーク・トライアングル・レジデンス(フォート・ボニファシオ、616戸)の1件のみでした。 



2023年下半期に引き渡し予定のユニットは3,100戸とみられており、コリアーズによると、2023年通年での完成ユニット数は4,920戸の見込みです。



2023年末には、マニラ首都圏のコンドミニアムストックは15万6,000戸以上に達するとみられており、そのうちベイエリア、マカティ中心業務地区、フォート・ボニファシオが総完成戸数の約3分の2を占めます。コリアーズは、2024年の供給戸数でフォート・ボニファシオがトップであることから、投資家も注目するエリアだと述べています。



プレセールの需要も改善


コリアーズによると、2023年上半期のマニラ首都圏におけるプレセール市場では、前年同期比52%増の15,200戸の販売が記録されました。中低・中高所得者層(320万ペソから1200万ペソ)がこの期間に販売されたコンドミニアムの70%を占めました。パシッグ市、ベイエリア、アラバン-ラスピニャス、カマナバ(カロオカン-マラボン-ナボタス-バレンズエラ)では、中低所得者層から中高所得者層が販売戸数の50%を占めました。



2023年第2四半期に発売された注目コンドミニアムプロジェクトは以下の通り:

パーク・イースト・プレイス(アヤラ・ランド社、フォート・ボニファシオ)

ラヤ(シャン・プロパティーズ社、パシッグ市)

オリン・アット・ジェイド・ドライブ(オルティガス・ランド社、オルティガスセンター)



フィリピン中央銀行(BSP)の最新の消費者信頼感調査(Consumer Expectations Survey)によると、2023年第2四半期に不動産購入を計画していると答えた世帯の割合は、前四半期の4.6%から4.7%にわずかに上昇しました。一方、2023年第2四半期の企業の景気予測調査結果によると、景気見通しは2023年第1四半期の36.0%から41.9%に改善しました。コリアーズは、プレセール市場の需要は、今後、ビジネスと消費者心理の改善、金利の安定化によって支えられると見ています。



賃料も上昇の兆し


第2四半期、コリアーズによると、住宅空室率が前期の17.4%から17.2%へとわずかに低下しました。空室率の改善は、2021年に26.0%という高水準を記録したベイエリアを含む全てのロケーションで見られたということです。



コリアーズは、2023年末までに空室率はさらに低下すると予測しています。その理由としては、コンドミニアムの竣工遅れと、駐在員が戻ってきていることなどを背景に住宅の賃貸活動が継続的に改善していることを挙げています。



コリアーズは、マカティCBD(中心業務地区)、オルティガスセンター、フォートボニファシオで、BPO、シェアードサービスセンター、多国間援助機関、物流、製造業に従事する外国人駐在員の賃貸需要が回復していると述べています。これを反映するかのように、2023年第2四半期の賃料上昇率は1.0%とわずかに改善し、価格上昇率0.5%をわずかに上回りました。



一方で、2024年も新築物件の竣工が相次ぐことから、コリアーズは、セカンダリー市場の空室率は高止まりすると見ています。2024年末までに完成予定のユニットの27%を占めるベイエリアでは、賃料に下向きに圧力がかかっていると指摘しています。



今後の見通し


コリアーズは今年の不動産市場の見通しについて楽観的な見方をしています。オフィス、小売、工業、ホテルといった主要な不動産セクターで回復が見られることから、住宅部門も例外ではないだろうと述べています。さらに、フィリピンのマクロ経済のファンダメンタルズが依然として健全であることが、短期~中期的に、不動産セクターをさらにダイナミックな方向に持っていくだろうとコメントしています。




(出所:Business World Online

(画像:UnsplashのKristine Wookが撮影した写真)