インターナショナル不動産&投資カンファレンス In Osakaレポート⑤

インターナショナル不動産&投資カンファレンス2018 in Osakaレポート⑤をお届けします。

インターナショナル不動産&投資カンファレンス2018 in Osaka
レポート⑤

リクルート、リクルート住宅総研を経て、LIFULL HOME's総研所長に就任し様々なレポートを発表してこられた島原万丈氏のセミナーです。

株式会社LIFULL/LIFULL HOME'S 総研所長 島原万丈氏

1989年株式会社リクルート入社。グループ内外のクライアントのマーケティングリサーチおよびマーケティング戦略策定に携わる。2005年よりリクルート住宅総研へ移り、ユーザー目線での住宅市場の調査研究と提言活動に従事。2013年3月リクルートを退社、同年7月株式会社LIFULL(旧株式会社ネクスト)でLIFULL HOME’S総研所長に就任し、2014年『STOCK & RENOVATION 2014』、2015年『Sensuous City [官能都市] 』、2017年『寛容社会 多文化共生のための〈住〉ができること』を発表。主な著書に『本当に住んで幸せな街 全国官能都市ランキング』(光文社新書)がある。


「住まいの幸福を疑え」

住まいの幸福を疑え、とは、なんとも衝撃的なタイトルですよね。

2018年4月にリリースされた『住宅幸福論 Episode1 住まいの幸福を疑え』の中で、平成の終わりに、LIFULL HOME’S総研が、新しい時代の住まいの幸福を考えるシリーズ「住宅幸福論」第一弾のテーマとして「これまでの住宅観」を解体するところからアプローチしています。

まずは、住まいを取り巻く3つの環境変化として島原氏は以下の3つを問題意識として挙げています。

1.人口減少と不動産
・本格化する人口減少と高齢化
・それにより、2040年段階で住宅価格が半分または三分の一以下になってしまう地域が多数出現してくる
・2033年の空き家は2166万戸、空き家率は30%、(野村総合研究所)

2.家族の変化
・選択的になった家族:必ずしも結婚する必要がない63%、結婚をしたら子どもをもたなくてもよい55%
・社会の構成単位が変化、単独世帯が35%で最も一般的に
・世帯構造の変化:2023年をピークに世帯数減少
・女性の生き方変化:結婚や出産でキャリアをあきらめない
・女性の社会進出
・共働き世帯の一般化
・夫婦観は変化し、性役割分担は減少、家庭内協力が一般的
・夫の家事協力も進みつつある
・開発が進むIoT住宅、家事ロボットにより、テクノロジーで家事が軽減される未来も近い

単身世帯が最多の世帯となり、夫婦と子供からなる核家族は今では少数派。ひとり親と子世帯の倍増や、非親族世帯、ステップファミリーの出現など、家族のありかたも多様化してきていること。また、夫婦は共働きが一般的になり、性役割分担的な家族観は消失(女性の自立)してきていることを挙げています。


3.働き方の変化
・企業がテレワークを導入、テレワーク人口も増加し、就業人口の17%
・働く場所の多様化(在宅勤務以外にも、モバイルワーク、サテライトオフィスなど)
・兼業・副業の普及
・自動運転とライドシェアは、立地の選択肢を拡げる
・多地域居住への関心もふえてきている
・オフグリッドな住まい方の可能性


島原氏は、こう言います。

昭和~平成にかけては、人口も増加、経済成長も進み、土地は資産とみなされてきました。家族のあり方は、結婚適齢期が重視され、夫婦に子供がいるのが当たり前、性役割分担も根付いていました。また、働き方や通勤は、男性が大黒柱として定年まで勤め上げるのが当たり前、職場と住宅は切っても切り離せない関係でした。

一方で、ポスト平成は、人口減少・高齢化が進み、不動産価格も下落、空家も増加し、ストックも高経年化してきます。またシングル化が進み、子どもがいない夫婦も増え、家族形態も多様になります。女性の自立も進み、男女平等の考え方がさらに浸透。テレワークの活用や、兼業・副業の普及により、雇用の流動化や働き方の多様化が進み、通勤からも解放されるとしています。このようにして、「住まいを規定してきた社会構造が解体される」中、持ち家志向8割/戸建て指向7割(国交省「H28年度土地問題に関する国⺠の意識調査」)と住宅観は昭和のままであることも指摘しています。


ここで、島原氏は、2018年1月末に行われたインターネット調査、住宅幸福度調査の結果を紹介されました。

持ち家vs賃貸だと、持ち家の方が満足度が高く、新築マンションvs中古マンションだと、新築マンションの方が満足度が高い。しかし、これらの集計結果を傾向スコア分析により交絡因子を排除してみてみると、「本当はどんな家に住もうが、幸福度は大差ない」ということがわかると言います。

では、幸福度を高めるためにはどうしたらよいのでしょう?島原氏は、幸福な住まいのためのヒントは「暮らし方」にあるといい、そのヒントを4つ披露してくださいました。

・ヒント1:住んでいる街を好きになる
・ヒント2:家族との交流や趣味に没頭する時間的ゆとりをつくる
・ヒント3:建物の経年変化をポジティブに受け止める
・ヒント4:賃貸住宅の場合は、快適性の向上も大切

概してハードよりも暮らし方が重要で、住宅の非地位財としての価値を大切にすることが幸福な住まいにつながるということです。みなさんも島原氏のヒントを参考に、住まいの幸福度を高めてみませんか?

この続きは、2019年にリリースされる住宅幸福論エピソード2で明らかになるそうです。お楽しみに!