インターナショナル不動産&投資カンファレンス In Osakaレポート⑥

インターナショナル不動産&投資カンファレンス2018 in Osakaレポート⑥をお届けします。

インターナショナル不動産&投資カンファレンス2018 in Osaka
レポート⑥

2018年5月11日(土)のパネルディスカッションにもご参加いただいた、AnyPay, Inc.COOの大野紗和子氏のセミナーの様子です。

AnyPay, Inc. COO 大野紗和子氏

2008年東京大学理学部卒業、10年同理学系研究科化学専攻修了。株式会社ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)に入社し、金融・ヘルスケア・製造業等のコンサルティングに従事。中でもアジア地域の金融プロジェクトに長く関わり、国毎の文化・状況に応じた金融サービスの面白さやデジタルデバイス活用の可能性を感じる。13年よりGoogle株式会社にてインダストリーアナリストとして、Google検索データ・顧客企業データを統合した分析に基づき、経営・マーケティングのアドバイザリーを行うと共に、オンラインマーケティング関連のリサーチプロジェクトに従事。東京大学教育学研究科特任研究員として、スマートフォンを用いた認知行動学研究に参加。16年よりAnyPay株式会社にて、取締役COOとしてペイメント・ICOコンサルティング等のFintech領域での事業構築・運営を行なっている。座右の銘は「楽しむことを怠けない」。趣味は歌・チェロと、植物鑑賞。  


「ブロックチェーンがFintechにもたらす変化~仮想通貨・ICOの仕組み、現状とこれから~」


AnyPay, Inc.のCOO、大野紗和子氏のセミナーは自己紹介として、大野氏の現職に就かれるまでの経歴をご紹介いただいたあと、「テクノロジーに包まれた社会を実現する」AnyPay.Incの会社紹介をいただきました。

ICOコンサルティング事業を行うAnyPay株式会社は、国内外で様々な業界のICOをサポートしています。調達完了済みのプロジェクトとして、仮想通貨ウォレットbread、カーシェアのDrivezy、トークン発行PF/取引所のTOKENONYなどがあります。

続いて、大野氏は、時価総額が合計で40兆円を超える盛り上がりを見せている仮想通貨 (暗号通貨)・ICOの仕組みと現状をご紹介くださいました。

Bitcoinから始まった、Satoshi Nakamotoの2009年の論文「A Peer-to-Peer Electronic Cash System」に基づくブロックチェーンについて、「クライアント・サーバ型」が第三者機関が取引を履歴を管理して信頼性を担保するのに対して、「P2P(peer-to-peer)ネットワーク型」は、すべての取引履歴を皆で共有することで信頼性を担保する点が大きく異なること。また、「前のハッシュ値」「取引データ」+「ナンス値」をすべて合わせて「ハッシュ値」を計算し、そのハッシュ値と取引データ+ナンス値が次のハッシュ値を構成していく、チェーン構造のしくみをご説明いただきました。

また、ブロックチェーンの持つ特徴として、
(1)分散化/ 非中央集権
(2)改ざんがしづらい
(3)記録の透明性
(4)スマートコントラクトを持つブロックチェーンも(ブロックチェーンに記載された契約を自動的に実行する仕組み)

ということで、ブロックチェーンの代表的な応用例は仮想通貨(金銭的価値の取引履歴の保存)ですが、それに限らない可能性を秘めたしくみであることをご説明いただきました。


ICO(Initial Coin Offering)とは、独自のトークンを発行し、仮想通貨により調達を行う仕組みであり、ICOがIPOやクラウドファンディングと比較したときに、個人、スタートアップ~大企業まで実施者の大小を問わないこと、コストが自社実施なら人件費のみで少なく抑えられること、グローバルに投資家を募ることができることが特徴であることを強調されました。

<ICOトークンの種類>
・純通貨型:ビットコインなど通貨として複数のサービスにまたがって支払いに利用できるもの
・サービス型:ICO実施企業の提供サービス内にて支払い・割引等に利用できるもの
・有価証券型:株式のように、トークンの保有者に対して企業・またはプロジェクトの収益の一部が還元されるもの
・アセットトークン化型:貴金属・不動産・コモディティ等の現実世界のアセットの価値をトークン化したもの

このように性質によって異なるタイプにわけられるICOは、金融、インフラ、通信といった業種で特に多く活用されています。調達金額も、3,000万ドル以上のプロジェクトが全体の14%を占め、個別に見ると、韓国ヒュンダイが仕掛けた暗号通貨プロジェクトHDACに至っては最大300億円規模の調達もあるといいます。また、2017年8月にICO実施計画を発表したエストニアのように、国家としてICOを検討する例もあります。色々なアセット価値のトークン化のプロジェクトも進行しており、ますます活用がみられるICOです。


一方で、一方で仮想通貨にまつわる問題や規制強化の動向もあることを、大野氏は挙げています。

・ブロックチェーンの混雑/ 大規模な電力消費
・取引所のハッキング問題
・仮想通貨規制が強化される動向
   - 有価証券に該当する仮想通貨の取り締まり:US、シンガポール、香港等
   - 仮想通貨全般に対する規制の議論:韓国、インド、インドネシア等
・ICOプロジェクトの中には、まだサービスローンチまで至っていないケースも

こういった中、自分の仮想通貨資産を守るには、取引所のウォレットまとめて管理 (取引所内のアカウントごとの残高の記録はブロックチェーンに記録されているわけではない)ので、多額の仮想通貨は取引所から引き出して“自分で管理する”という意識が大切であることを強調されました。

最後に、これからのICO実施企業に求められることとして、大野氏は以下の点を挙げられました。

・より綿密なプロジェクトの設計と、適切な調達金額の設計
・トークンセール実施前/後の適切な情報開示
 ・変わりゆく各国の法規制を遵守して実施
・一部のユーザーだけでなく一般に広がるような、より多様なビジョンを持ったICOプロジェクト/ 実施企業
・集めた資金の安全な管理