世界の不動産投資、コロナの影響で33%減

2020/08/13

世界の不動産投資、コロナの影響で33%減


新型コロナウィルスの流行が経済を混乱させ、2020年前半期の世界の不動産投資は33%減となりました。


総合不動産サービス会社サヴィルズのレポートによると、アジア太平洋地域が最も打撃を受け、前年同期比で45%減となりました。米州では36%減、欧州・中東・アフリカ地域では19%減となりました。


政府が実施したロックダウンにより、観光業も数か月にわたってシャットダウンを余儀なくされ、ホテル投資は今年前半期で59%減、続いてリテール物件が41%減となっています。一方で、工業物件、レジデンシャル物件は好調でした。


サヴィルズのグローバル資本市場ヘッドのサイモン・ホープ氏は、投資状況について、「投資家が市場に明るさが見えてくるの待っている状態で、2020年残りの期間も、コロナ前よりずっと低いレベルに留まるだろう」と予想しています。「しかし、投資家が安全な資産に集中するため、ロジスティック、レジデンシャル、ライフサイエンスといった分野は健闘するでしょう。」


国際通貨基金(IMF)は、パンデミックが長期化することで、世界のGDPは4.9%減少すると予想しています。IMFのチーフエコノミスト、ギータ・ゴピナート氏は、景気後退による今年、来年の世界経済の累計損失は12.5兆ドル(約1,250兆円)に上る予想だとコメントしています。


しかし、投資の減少は、2008年前半期の通貨危機の始まりと比べると、深刻度はさほどでもありません。当時は、投資が49%の激減、2009年央まで引きずって減少し続けたと、サヴィルズ・ワールド・リサーチチームのディレクター、ソフィー・チック氏は声明の中で述べています。


暗いニュースばかりではありません。サヴィルズのレポートの中で明るいニュースといえば、アジアのレジデンシャル不動産投資が105%増となったことです。これは、米投資会社のブラックストーングループが、中国アンバン保険グループから日本の賃貸マンション群を一括の取引として過去最大の約30億ドル(約3,000億円)で購入する取引によるとのことです。


(出所:New Straits Times

(トップ画像:Precondo CA on Unsplash )