[フィリピン] コロナ禍における不動産バイヤーの好みの変化

2020/09/11

[フィリピン] コロナ禍における不動産バイヤーの好みの変化

2020年が始まって以来フィリピンを悩ませているコロナ感染拡大の渦中、34か国で事業を展開する不動産マーケットプレイスLamudiフィリピンの2020年前半期のデータによると、レジデンシャル不動産市場には週単位で劇的な変化がありました。


新型コロナウィルス(Covid-19)の感染拡大を食い止めるべく「強化されたコミュニティ隔離措置(ECQ)」が実施された2020年3月16日が、レジデンシャル部門にとって転換期となりました。これ以降、それぞれの物件タイプは、「修正を加えた強化されたコミュニティ隔離措置(MECQ)」に移行するまで、激しく変動しました。


関心、問い合わせともに週を追うごとに減少したのち、市場は2020年5月16日のMECQの実施あたりですぐに立ち直りを見せました。


メトロマニラが近隣のカヴィテ、リサール、ブラカン、ラグーナの4州とともに一般的なコミュニティ隔離措置(GCQ)へと戻り、Lamudiはこれまでに起こったこと、そしてコミュニティ隔離措置がレジデンシャル市場にいかに影響を与えたかのスナップショットを提供しています。



レジデンシャル市場の反応

Lamudiの不動産バイヤー、仲介業者、デベロッパーを調査対象とした初期トレンドレポートでは、ECQの実施が始まってから、戸建物件に新たに関心が集まったことを示しています。


コンドミニアムは、部分的に去年から持ち越した不動産投資への関心もあって、2020年は力強いスタートを切りました。しかし、パンデミックにより、コンドミニアムの週単位のリード(見込み客)成長率は2020年前半期に-3%を記録しました。ECQの初めに、コンドミニアムのリード数には大きな減少が見られたものの、この不動産タイプへの関心が消えたわけではありませんでした。


戸建ては、ECQ期間中堅調な伸びを見せ、2020年前半期の週単位の成長率は平均2%でした。抵当流れの物件もまたパンデミック期間中にレジリエンスを見せ、平均のリード数成長率は戸建てより1%高くなりました。


ECQ期間中、不動産バイヤーにとってアフォーダビリティ(手ごろ感)は主な検討項目のひとつでした。これは、Lamudiの抵当流れの物件のリード37%増からも明らかです。


ECQ以前、販売用物件のLamudiにおけるページビューは63~66%程度でした。しかし、賃貸用物件は、プラットフォームへの掲載が少なかったにも関わらず、53~63%の問い合わせがありました。


ECQ期間中、不動産購入への関心は68~74%にまで高まりました。不動産の購入予定者が、ECQ期間中のLamudiにおける問い合わせのほぼ56%を占めました。これは、不動産購入予定者が購入の意図があるものの、そのまま賃貸の問い合わせの方へ移ったことを示しています。


立地については、リードのほとんどが中心業務地区(CBD)の不動産の購入または賃貸を希望していました。リードの大半がケソンシティ(26%)で、続いてマカティ(12%)、パシグ(10%)、タギッグ(9%)でした。これらの市にはCBDがあり、不動産も長期的な回復力を見せています。


公共交通機関が止まったり、運転が限定的だったりして、不動産購入予定者でも特にエセンシャル(必要不可欠)な業種や、Covid-19のリスクが高いとされる人々が、職場に近い住居を求めたものとみられます。



不動産購入予定者はアメニティを重視

2020年前半期、不動産購入予定者は、Lamudiの掲載物件を見る際に考慮する項目として、レジャーと生活の質を挙げています。


ECQが実施されたのが夏の暑い時期だったこともあり、共有プールやエアコンのある物件が人気でした。一方で、安定したインターネット接続のあることも、オンラインでのイベントや在宅勤務が日常となるにつれて、必須項目となりました。


また、不動産購入予定者には、バルコニーや共有ジムエリアがある物件が好まれました。バルコニーでアクティビティを行ったり、ECQ期間中閉鎖した市中のジムに替わる選択肢として共有ジムを利用するからです。


このように、不動産購入予定者は、より長期的な視点で、変わりゆくコミュニティ隔離措置の期間中に施行されるルールに適応していかなければなりません。2020年後半期も不動産需要や嗜好に新しいトレンドが出てくるかもしれません。

(出所:Manila Times

(トップ画像: AGDProductions from Pixabay )