タイ不動産購入で物件以外にかかる費用

2018/02/12

タイで不動産購入する際の注意点については、こちらを参照ください。

 

タイで不動産購入する際の費用

 

タイの不動産価格

経済的不安および政情の移り変わりの激しさ故に、デベロッパーの中には、タイに対して用心深い姿勢をとっているものもあります。コンドミニアムの市場が2013年には前年同期比で8.9%の伸びを見せていたのに対し、2016年では4.7%と減速しています。

この減速は、タイの経済見通しの変化を反映しています。アナリストは、2012年には好況だったタイ経済は、2017年には他のアジア各国より緩やかな成長を見せると予測したからです。とはいえ、タイの金融政策は安定しており、中央銀行の金利は1.5%と安定、またコアインフレ率も1%前後です。

タイの住宅マーケットは、好調な経済状況とは裏腹に、少しずつ弱まりを見せています。タイ銀行(Bank of Thailand (BoT))によると、シングルデタッチトハウスの平均価格は、2017年の第3四半期に0.2%と少々増加し(実質は0.6%減少)、前年の1.4%成長から鈍化しています。2017年の第3四半期は、住宅価格全体では、1.5%の増加(実質1%の増加)となっています。

住宅価格が横ばいな中、賃料の利回りは特定のセグメントでは高騰しています。とくにバンコクに住む人々に人気の、コンドミニアムなどでは、購入価格インデックスが鈍化の動きを見せたのちも、2桁の伸びを続けています。



住宅価格変動(対前年比、%)

住宅価格インデックス(2009年1月=100)

コンドミニアム登記数
(バンコクvs他県)

コンドミニアム

2017年第3四半期、価格上昇は一気に減速し0.35%(実質‐0.5%)、2016年第3四半期と比べると8.2%の減少となりました。これは、2011年の第1四半期以降、年間価格成長率としては最低です。前期比ベースでは、コンドミニアム価格は、0.59%の増加となりました。

一方で、過去1-2年、新築コンドミニアムユニットの平均売価は年間15-20%で上昇を続けており、ロケーションによってはそれよりも高くなっているところもあります。多くのデベロッパーは、2017年には特に平方メートルあたり50,001~100,000バーツ(約17~34万円)あたりのユニットの建設に集中しており、2017年第4四半期には、約50%のユニットが、現在建設の進むスカイトレイン沿いに位置しています。これらの地域の地価は、市内と比べるとまだ低い状態にとどまっています。

平方メートルあたり200,000バーツ(約68万円)以上のコンドミニアムプロジェクトの数は、2017年第1四半期から第4四半期で、2016年の同期を超えました。プロジェクトの中には、バンコクのビジネス街の中心地にローンチしたものもあれば、過去にローンチしたプロジェクトの再ローンチもありました。2017年第4四半期にローンチしたコンドミニアムプロジェクトのほとんどが平方メートルあたり100,000バーツ以下で販売されているため、2017年第4四半期にローンチしたコンドミニアムユニットの平均販売価格を押し下げていますが、過去の四半期、過去数年よりは高いものとなっています。シティエリアのコンドミニアムの価格は、2018年にはさらに10-15%ほど高くなることが見込まれる一方で、シティエリア外では5~8%の上昇で、平均の価格上昇は、少なくとも8~10%とされています。

<バンコク・スカイトレインMAP>

(出所:Bangkok Mass Transit System Public Company Limited)

タイでの物件コストの概算は?

タイで物件購入をする場合、価格はそのロケーションに大きく左右されます。大都市では、市内のどのエリアかによって平均価格には大きな差があり、人気の中心部は高額になります。しかし、バンコクの住宅価格は、チェンマイなどといった外国人に人気の他の都市と比べると、極端に高くなります。必然的に、小さめ、かつ、より田舎に行くにしたがって、大都市と比べると価格は著しく下がります。

都市
平方メートルあたりの購入価格(USドル,中心部)
平方メートルあたりの購入価格(USドル,中心部以外)
バンコク
$4,093
$2,010
チェンマイ
$1,620
$943
ノンタブリ
$1,768
$810

 (出所:TransferWise

■バンコク


その雇用機会の多さから、外国人に人気の都市となっています。バンコクの物件でスカイトレインまたはMRT(地下鉄)の駅に近いものは、需要が高く、価格もその分他のエリアよりも高くなっています。中心部のビジネス街に位置するコンドミニアムは、平方メートルあたり120万円を超え、ほとんどの物件は少なくとも2ベッドルームとなっています。これらの物件は高級物件とみなされますが、一方で、都市中心部から少し離れた物件でもよければ、平方メートルあたり40万円以下でも見つけることができます。

■プーケット

タイ国内でも過去10年にわたって人気のスポットで、物件価格もその需要ゆえに一気に高騰してきました。しかし、まだまだ比較的手ごろな物件も残っています。新しい開発物件がいくつもあり、コンドミニアムの価格は、平方メートルあたり37万円~54万円のレンジが多いようです。小さなアパートであれば、1,200万円程度で購入可能ですが、一方で高級物件やヴィラなどは高額になることが必至です。ビーチに面した物件などは、さらに高額になることを覚悟しなくてはなりません。

■チェンマイ

物件価格は、バンコクと比べると低いですが、市内のどのエリア化によって異なります。市の中心部は歴史あるエリアで古い伝統的な物件ばかりですが、郊外へ出るとコンドミニアムといった新しい開発物件があります。これらのコンドミニアム価格は、市の中心部の物件より高くなりますが、それでもバンコクの物件よりは現時点では低い状況です。ただし、これらは今後注目のエリアですので、価格はこのまま上昇を続けることになりそうです。

■ウドンタニ

シンプルなタイ住宅が1000万円前後で販売されています。これらの家は、トタン屋根葺きのいたってシンプルな家ですが、バンコクに住む人々のショートステイのホリデーホームとして人気があります。このエリアには、新しいアパートや住宅の開発物件もあります。比較的新しいこれらの家の平均価格は、550万円を下回ります。550万円を超えてくる物件は、共同プールがあったりといったファシリティ面で充実した高級物件となります。

■パタヤ

近年かなりの開発が行われている地域です。アパートやヴィラのコンプレックスが連立し、ビジネス地区の開発も進められてきました。人々や企業の流入により、物件価格は上昇、また今後も上昇を続けるでしょう。2003年には2,000万円ほどで購入できたコンドミニアムも、今では1.5倍ほどの値段になっているようです。スタジオタイプの小さな物件であれば、平方メートルあたり25万円以下で購入も可能なようです。

外国人の土地および住宅所有にかかる規制のため、多くの外国人はアパート購入を選択します。また外国人投資家が同一コンプレックス内で購入できるアパートの数が決まっていますので、需要が高い状態を維持しています。

手ごろな物件は、タイ全土で需要が高く、市場もかなり安定しています。現時点での不動産投資は、外国人の移住先としてますます人気の高いタイですので、現時点での不動産投資は賢い策だといえるでしょう。

 

税金および費用

タイで物件を購入する場合の税金および費用はかなり低くすみます。というのも、ほとんどのコストは売り手が負担することになっているからです。

費用の種類

負担者
弁護士費用
20,000バーツ (約68,000円) – 30,000バーツ(約102,000円)
買い手
登記費用
物件の評価額の2%
新築は折半が一般的
事業税
評価額または購入価格(いずれか高い方)の3.3%
売り手
源泉税
物件の申告価格または評価額(いずれか高い方)の1.0%
売り手
印紙税
物件の申告価格または評価額(いずれか高い方)の0.5%
売り手
不動産エージェント費用
物件価格の3-5%程度
売り手

 

■物件取引価格

弁護士費用 
売り手・買い手それぞれが、自身の弁護士費用を支払います。20,000~30,000バーツ(68,000~102,000円)程度と言われています。

登記料
フリーホールドの物件であれば、評価額の2%となり、売り手・買い手で折半されます。一方で、転売取引の場合、交渉により合意した上で、売り手または買い手が単独で負担する場合もあります。

事業税
物件の価格または評価額のいずれか高い方に3.3%課されます。これは、個人および法人いずれにも課せられます。

源泉税
売り手が法人の場合、物件の価格または評価額のいずれか高い方に1%課されます。売り手が個人の場合、源泉税は物件の評価額をベースに累進的に計算がされます。

印紙税
物件価格の0.5%。事業税がが適用されない場合のみ支払いが必要。

■維持費

修繕積立金(Sinking Fund) 
新しいコンドミニアムのプロジェクトでは、デベロッパーから買い手に物件が移転される際に、買い手が一括支払いを行います。現在、修繕積立金の金額は、平方メートルあたり400-1,500バーツ(1,360~5,100円)程度となっています。この積立金から、必要な大規模修繕や設備更新を賄い、建物の維持がされるようにし、また究極的には将来の価値を維持することにもつながります。修繕のために積立金から資金を引き出す必要が出てきた場合、ユニットのオーナーは、修繕積立金の残高が一定になるように補充することになります。

光熱費メーター一時金および据え付け費用
電気および水道のメーターを新居に初期登録するにあたって、必要な経費があります。また転売の場合には、電気および水道の登記を移転するための経費がかかります。転売の場合、売り手が買い手に対して、電気および水道メーターの一時金を返済するように求めることができます。電気メーターの一時金は、電気メーターの容量によって異なります。

共有エリア管理費
これらの費用は、コンドミニアムや住宅プロジェクトの共有エリアの維持費としてオーナーにより支払われます。新しい住宅プロジェクトでは、ユニットの所有権の移転の当時に、1-3年分をまとめて支払うのが一般的です。共有エリア管理費は、現在月々平方メートルあたり30-150バーツ(100円~510円)程度となっています。

注:文章中の日本円表記は、記事執筆時点での為替(1タイバーツ=約3.4円)で換算した参考値です。